コロナ後見据え成長戦略 メーカー系商社のいま(2)/東洋紡STC/新体制で強みを伸ばす

2021年03月09日 (火曜日)

 東洋紡STCの2020年4~9月期単体決算は売上高350億円(前年同期比17・7%減)、営業利益1億7700万円(65・5%減)、経常損失6200万円(前年同期は5億6800万円の利益)にとどまった。

 繊維事業は29・4%減収の売上高96億円。スポーツ、ユニフォーム、インナーでともに苦戦を強いられる一方、「Zシャツ」の販売は当期も順調だった。

 中東輸出は下半期から加工指図が入り始めるとともに回復へと転じており、この間、強化してきたてこ入れによって、「下半期はインナー以外を浮上させられる」との認識を示す。

 新型コロナウイルス禍に伴う苦戦を踏まえ、今後は自社の強みに位置付けるユニフォームやスクール、ニットシャツ地などに経営資源を重点的に投入し、てこ入れに取り組む。

 事業運営におけるメリハリを付けるため組織再編を実施。4月1日から繊維事業総括部をこれまでの4事業部からスポーツ、マテリアル(インナーや糸売り)、輸出織物、ユニフォーム、スクールの5事業部体制に組み替える。

 強みと位置付けるユニフォーム、スクール、輸出織物では人員も増強し、3事業を中心にコロナ後を見据えた拡大戦略に取り組む。

 シャツ向けの高機能ニットシャツ地「Zシャツ」や「Eシャツ」の販売が好調で、20年度は50%以上の増販になる見通し。21年度は中肉の「スクラムテック」もラインアップする。

 21年度はライフスタイル系アイテムの拡充に力を入れるスポーツアパレルへのアプローチを強化。巣ごもり需要の拡大も追い風に20年度以上の拡販を計画している。

 ユニフォームでもZシャツは好調を続けている。企業別注で家電量販店や携帯電話ショップの制服更新時にZシャツ、Eシャツが採用された。21年度からはオフィス・サービスユニフォームにも売り込む。

 新型コロナ禍に伴い販売が急増している抗ウイルス素材「ナノバリアー」や「ヴァイアブロック」でも販促を強化し、ユニフォームやメディカル用途への浸透を目指す。

 インナー部隊が非衣料・資材分野へも本格的に参入するため、ヴァイアブロックでマスク向けの不織布の拡販に取り組んでいる。入善工場(富山県入善町)でサーマルボンドの量産を立ち上げ、非衣料・資材志向を強めつつあるインナー・肌着の顧客への提案を強めている。

 クッション材「ブレスエアー」はTVショッピングなどでのマットレス向けの販売が好調で、「1日で完売する」ケースもあると言う。今年の夏から2系列目を稼働させるとともに海外を中心にオートバイのシートなどで新規需要を掘り起こす。