東洋紡ユニプロダクツ 22春夏婦人服地/お出掛け着の復活に期待/中堅スポーツアパレルを攻略

2021年03月10日 (水曜日)

 東洋紡ユニプロダクツの機能ファブリック事業部は22春夏向けのポリエステル婦人服地で「前シーズンに続き天然繊維ライクな合繊が求められる」とみて、ポリエステル使いでナチュラルな表面感を持たせた素材群を打ち出す。一方、新型コロナウイルス禍の収束に伴いお出掛け着の需要が回復するとも見通しており、このゾーンに向けたフェミニンな商品ラインを充実させる。

 同社によると、21春夏商戦では昨年10~12月期に市況回復の兆しが感じられていたものの、その後の緊急事態宣言の再発令で再び状況は悪化に転じたという。

 一時期、販売が上向いたシルキー素材「ジーナ」の荷動きが鈍化したほか各社からの発注が滞り、販売量は20春夏実績を下回った。

 21春夏の輸出商戦では、カジュアルに行き過ぎた反動としてフェミニンな素材感を求めるニーズが強まっていたものの、新型コロナ禍の第2波、第3波の影響を受けて外出がさらに抑制され「お出掛け着が売れなくなった」ことでフェミニンへの流れも頓挫したという。

 22春夏に向けては、天然繊維調の表面感、質感を持たせた合繊を売り込んでいくとともに、新型コロナ禍が収束するに伴い「お出掛け着向けの奇麗め素材も復活に向かう」との期待感を示しており、この線に沿った開発、企画提案にも力を入れる。

 かつて大手インナーアパレルにキャミソール向け素材として販売した後加工でよりシルキー感を強調したジーナでフェミニンな流れを取り込みたい考えだ。

 エコ素材の販促も重視しており、再生ポリエステルの長繊維「エンドレス+(プラス)」、短繊維「エンドレス」を複合した商品ラインの作り込みを急いでいる。

 同事業部はポリエステルを中心とする婦人服地を主力に展開しており、事業部年商の90%前後を占めていると言う。

 婦人への依存度が高過ぎることを是正するため、スポーツや繊維資材向けの拡販に力を入れており、数年かけて両用途への依存度を20~30%に引き上げる。

 年商50億~100億円クラスのスポーツアパレルへのアプローチに力を入れており、単糸1・1デシテックスの極細ナイロン短繊維織物「ARL―9N」がフィッシングやサイクリング関連アイテムに採用され始めた。