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コロナ後見据え成長戦略 メーカー系商社のいま(3)/帝人フロンティア/ウエアラブル関連で動き

2021年03月10日 (水曜日)

 帝人フロンティアは、新しいビジネスの創出・開拓に力を入れている。その先頭に立つのが新事業開発室で、2015年10月にスタートした同室は「ウエアラブル」「ヘルスケア」「防災・減災」の三つを中心に新事業創出を図っている。特にウエアラブル関連での動きが目立ち、大きなビジネスに育てたいとしている。

 同社がウエアラブルに関する基礎研究に着手したのは10年ほど前で、自己調節機能を持つ生地「ファイバライブ」に関するものだった。汗を吸うと伸び、乾くと縮むという3Dベンチレーション機能を、汗ではなくセンシングによってコントロールできれば面白いと考えたことがきっかけだった。

 その後、同室が立ち上がり、今ではウエアラブル関連でさまざまな商品・サービスを展開するまでになった。その一つである「マトウス」は、高性能繊維とセンシング技術との融合によってウエアからセンシング、アプリケーションまで一体となった総合的なソリューションを提案する。

 マトウスでは21年に入り、二つの新事業をスタートしている。一つがデジタルゴルフレッスンを実現する「マトウス ゴルフ」だ。プレーヤーの動きを測定するセンサーを一体化した専用のセンシングウエアと新開発のアプリケーションで構成している。

 手本となるデジタルコーチとプレーヤーの動きの差異を3Dアバターであらゆる角度から表示し、上達に向けたフィードバックコメントを自動的に提示するシステムを備える。一般的なレッスンやスイング解析にはコーチと専用の設備などが必要となるが、場所や時間の制約を受けない。

 もう一つは「モーションバンクプロジェクト」。モーションセンシングで体の動きを解析し、3Dモーションデータとして記録・ストックするプラットフォームで、イベント企画・映像制作などを手掛けるアノマリー(東京都渋谷区)と共同で展開する。

 一般的に体の動きをデータ化する場合、専用の設備と専門の人員が動きを撮影、編集、制作するが、モーションバンクプロジェクトではモーションセンサーを使用し、場所を問わずにデータを習得できる。データはバーチャルリアリティーなどのコンテンツに応用することができる。

 ウエアラブルでは動きを測定するモーションセンシングと心拍などを計るバイタルセンシングがあるが、将来は全てリンクするとしている。取得したデータをどのような形で生かしていくかになるが、「QOL向上や健康寿命の延伸に貢献したい」と強調し、医療機器化も検討している。

 開発は継続的に強化する方針で、現状で8人の新事業開発室の人員を早い段階で10人程度増やしたいとしている。