コロナ後見据え成長戦略 メーカー系商社のいま(4)/ユニチカトレ―ディング/21年度下半期で減収に歯止め

2021年03月11日 (木曜日)

 ユニチカトレ―ディングの2020年4~9月期連結決算は売上高188億円(前年同期比1・5%減)、営業利益6億円(200%増)、経常利益6億円(200%増)、純利益3億円(50%増)の微減収大幅増益となった。

 当期は厚生労働省からの要請に応じ医療用アイソレーションガウンや防護服700万着(製品換算)を供給したことが上半期決算の大幅増益に貢献した。

 そのガウンでこのほど新しい取り組みに乗り出した。医療現場で使われるアイソレーションガウン向け高機能複合不織布「ユニソフィア」シリーズを市立東大阪医療センターと共同開発し本格販売を開始した。特許を出願中。本格販売のために国内、ASEANに月産200万枚の供給体制を構築している。

 オレフィン系スパンボンド「エルベス」とコットンスパンレース「コットエース」、優れた透湿防水性能を持つポリエチレンの高バリア性フィルムを組み合わせてユニソフィアを開発した。

 同社は21年度、この間、取り組んできたエコ素材の商品ライン増強、新事業開発室の設立、電子商取引(EC)ビジネスへの参入、アセアン開発センターの開設といった布石の刈り取りに重点化し、下半期でこの間、続いた減収基調に歯止めをかける。

 ブラックフォーマル向けの「ノイエ」「ノイエシャンパール」で、このほどケミカルリサイクルで生産する「エコフレンドリー」版の新素材を完成させた。両素材は東京ソワールが百貨店、量販店で立ち上げた“エコキャンペーン”で採用された。

 米デュポンと共同開発した「パルパーソロナ」、植物由来のナイロン「キャストロン」でも商品開発、企画提案を強化し市場浸透を目指した販促に取り組んでいる。キャストロンは市場では珍しい植物由来のナイロンとして注目を集めていると言い、21秋冬からスポーツ素材として打ち出す。

 新事業開発室は東京ソワールとのコラボレーション、ECビジネスの立ち上げやパルパーソロナの共同開発などに取り組み当初から深く関わっている。昨年4月の設立以降、「営業との連動で相乗効果が出始めた」としている。

 ECビジネスでは、第1弾のマスクに続き第2弾の植物由来の毛布、第3弾の「テラマック」によるタオルをクラウドファンディングから発売。これらを通じ同社に寄せられた消費者からの意見、要望を今後の開発、販促に反映させ、ECビジネス拡大を加速する。

 新型コロナウイルス禍に伴う移動制限でベトナムに設けたアセアン開発センターの始動が遅れていたものの、早いタイミングで2人目の技術者を派遣。現地ニーズにマッチした現地糸も活用した新商品の開発を急ぐ。