伊藤忠商事「クウラ」/メッツァリヨセルをブランド化/環境配慮型セルロースが製品に

2021年03月16日 (火曜日)

 伊藤忠商事の繊維カンパニーは、フィンランドの紙パルプメーカーのメッツアファイバー社と共同開発した環境配慮型セルロース繊維「メッツァリヨセル」を、「Kuura」(クウラ)のブランド名で展開する。

 15日には、ファッションブランド「ザ・リラクス」が、クウラで作った生地を使った製品を、楽天ファッションウィークのオンラインファッションショーで披露した。今後は、有力ブランドなどに向け、原材料から製品まで一貫したブランディングが可能になる点を訴求する。

 伊藤忠はメッツァ・グループとの共同出資で、同グループの工場内にセルロースファイバーのパイロットプランドを設立。2020年12月から稼働を開始した。

 同グループは所有する森林で計画的な植林・伐採も行っており、製造前の段階までトレーサビリティーを実現させた。製造についても、環境や人体に優しい独自の溶剤を使用した新手法を確立した。同プラントは再生エネルギーで稼働している。

 クウラは、環境配慮型の先端的な生産体制で作られるが、品質面でも従来の「テンセル」リヨセルと同水準以上を確保していると言う。紡績に関しては、20年に伊藤忠と戦略的パートナーシップを結んだクラボウが担う。

 クウラはフィンランド語で「霜」を意味する。 ザ・リラクスは、クウラを使った生地開発から参画し、7型のアイテムを第1弾として製造した。「ウール・メルトンはカシミヤを上回る質感を出せた。ボアは原綿の特徴を生かせた。風合いや肌触りに満足している」と仕上がりに自信をみせる。

 伊藤忠は、マーケットインの発想で川下に向けた素材提案を進める方針だが、クウラについてはアパレルにとどめず産業資材も視野に入れた用途提案も検討する。クウラと独自のケミカルリサイクルポリエステル「レニュ―」との組み合わせなどを通じ、サステイナブル素材の普及に注力する。