コロナ後見据え成長戦略 メーカー系商社のいま(7)/クラボウインターナショナル/SDGsやQRを強みに

2021年03月17日 (水曜日)

 クラボウインターナショナルは、素材メーカー系のOEM/ODM商社として糸、生地からの差別化提案に力を入れている。2021年3月期は新型コロナウイルス禍の影響で主力のカジュアル製品OEM/ODMが苦戦したことなどにより前期比減収減益になる見込みだが、昨夏ごろに想定した着地見通しからは大きく改善したと言う。

 下半期の改善に貢献したのは、クラボウの抗ウイルス加工技術「クレンゼ」を使った製品や防護ガウンの受注。さらに、中国の協力工場や子会社の国内縫製工場、クラボウ徳島工場などを活用したQRも一役買った。新型コロナ禍で衣料品が売れない中、アパレル各社は商社への発注ロットを大きく減らしたが、ネット通販など売れるものもあり、その際の小口・短納期の追加注文に対応した。

 クラボウグループとの協業による糸から生地、製品までの一貫対応も評価を受ける。織物だけでなく編み地も得意としており、生活様式の変化で編み地の需要が高まったことも下半期の改善に貢献した。今後も国内外の工場を活用した一貫生産体制を強みに、デニムやユニフォーム分野を伸ばす。

 SDGs(持続可能な開発目標)対応も積極化する。その一環としてこのほど、再生ポリエステル、同綿、オーガニックコットンなどで構成する素材ブランド「エコロジック」を立ち上げた。オーガニックコットンでは、ブルキナファソ産を日本国内では他社に先行して販売していくことも決まった。

 「社会に役立てる企業でないと勝ち残れない」(西澤厚彦社長)とし、国内外の工場で二酸化炭素排出量、水使用量、化学物質の削減や熱の再利用などに取り組み、安定発注や技術指導で雇用を守る考えを社内外に浸透させる。

 来期は、新生活様式に対応した新ビジネスの構築、若手社員の有効活用、固定経費の見直しに取り組む。新ビジネスでは抗ウイルス加工商品やネット通販商品の開発のほか、新規ビジネス開拓専任スタッフを置き、既に成果も出ていると言う。

 若手社員の有効活用としては拡大対象とするユニフォーム分野への配置転換などでモチベーション喚起を狙い、固定経費の見直しでは東京支店のスペース縮小を既に実施した。(おわり)