ユニチカトレーディング/下半期から業績反転目指す/布石の刈り取りに重点化

2021年03月22日 (月曜日)

 ユニチカトレ―ディングは2021年度、下半期からの業績反転を計画する。この間、エコ素材の増強、医療用ガウンでの生産体制構築、新事業開発室やアセアン開発センターの発足といった布石を投じてきた。これらの刈り取りに重点的に取り組み業績を回復させる。

 同社は環境に配慮した素材が今後、「多くの用途で標準装備化される」(細田雅弘社長)と見通す。このほどカーボンニュートラル素材のナイロン11「キャストロン」で、フランスのアルケマグループと包括的なリサイクルを進める取り組みをスタートさせた。

 ケミカルリサイクルで生産する「エコフレンドリー」、PLA繊維「テラマック」を既にラインアップ。「エコの引き出しを多く持っているに越したことはない」とし、デュポングループと共同開発した「パルパーソロナ」の本格販売を早急に立ち上げたい考えだ。

 同社は20年度上半期、政府からの要請に基づき医療用ガウン700万着を供給した取り組みが収益を下支えし営業大幅増益を達成した。

 これを起点にガウンでの取り組みを本格化。市立東大阪医療センターとガウン向け高機能複合不織布「ユニソフィア」を共同開発し本格販売を開始するとともに国内、アセアンに月産200万枚の生産体制を構築した。

 一方、電子商取引(EC)ビジネス参入などを目的に昨年4月、新事業開発室を発足。クラウドファンディングサイトのマクアケを通じ第1弾のマスク、第2弾の植物由来の毛布、第3弾のガーゼケットを販売してきた。

 消費者から寄せられる意見、要望を取り入れ今後のモノ作りに反映させるとともに、一般衣料やスポーツウエア、新型コロナウイルス禍対策用のパーテーションなどへも「チャレンジしたい」とECビジネス拡大に意欲を示す。

 新型コロナ禍で移動制限がかけられたため、ベトナムのアセアン開発センターの始動が遅れていたものの、速いタイミングで増員し、中国、インドネシアの拠点と連携し、地産地消を目指した付加価値素材の開発を立ち上げる。ミャンマーでの事務所開設も計画していたが、新型コロナ禍が収束するまでペンディングする。