クローズアップ/ユニチカトレーディング 社長 細田 雅弘 氏/エコの引き出し多いほどいい

2021年03月31日 (水曜日)

 ユニチカトレ―ディングが2021年度、下半期からの業績反転を目指している。エコ素材の充実、医療用ガウンでの生産体制整備、新事業開発室の設立といった成長路線へ回帰させるための対策を講じてきた。21年度はこれらの刈り取りを急ぎ、しばらく続いた業容の後退に歯止めをかける。細田雅弘社長に21年度の事業戦略を聞いた。

  ――ナイロン11「キャストロン」でフランスのアルケマとの連携に乗り出した。

 今後、リサイクルに取り組んでいくとき、ターゲットになるのはファイバートゥファイバーになります。しかし、副資材の分離などに課題があり、キャストロンのようなこれからの素材で製品企画の段階からリサイクルを前提とする取り組みを実現するためアルケマグループと連携しました。ファイバートゥファイバーの先駆者になれれば、と考えています。

  ――PLA繊維「テラマック」、再生ポリエステル「エコフレンドリー」といった素材群を構える。

 振り返ってみると、エコ素材の第1波がPLA繊維、第2波が植物由来の原料によるエコ素材でした。現在は第3波を迎えており今後、エコ素材は多くの用途で標準装備になるとみています。当社にはデュポングループと共同開発した「パルパーソロナ」もあります。エコに関する引き出しは多いに越したことがありません。

  ――電子商取引(EC)を含む製品事業を強化している。

 マクアケを通じ第1弾のマスク、第2弾の植物由来の毛布、第3弾のガーゼケットを発売しました。昨年4月に発足させた新事業開発室と営業による連携がうまく回り始めました。こういうことができる当社と組むことのメリットをもっと発信していきます。

  ――医療用ガウンを展開する体制を整えた。

 ガウンやマスクの安定供給やコストを考えると国内外に生産体制を構築する必要があります。今回、当社は市立東大阪医療センターとガウン向け高機能不織布「ユニソフィア」を共同開発するとともに国内外で月産200万枚を作る体制を整備しました。各医療機関には十分な在庫が行き渡っているでしょうが、新型コロナ禍で市場は大きくなりました。今後も大きなビジネスチャンスがあると考えています。

  ――ベトナムのアセアン開発センターは。

 新型コロナ禍で開業が遅れていますが、早急にスタッフを増員しインドネシア、中国との連携に取り組みます。地産地消を念頭に付加価値素材の現地開発を急ぎ、いずれは欧米アパレルへの商流開拓にも乗り出していきます。

  ――しばらく減収基調を続けてきた。

 21年度上半期はまだ厳しい状況が続くでしょう。しかし、下半期で減収に歯止めをかけ、22年度から本格的にアクセルを踏んでいきたいと考えています。