帝人フロンティア/戦略5領域に注力/タイで短カットを増強

2021年04月05日 (月曜日)

 帝人フロンティアの平田恭成代表取締役社長執行役員は今期(2022年3月期)、グリーン、インフラ、ヘルスケア、モビリティー、グローバル衣料テキスタイルの戦略5領域に注力して、成長を目指す考えを示した。設備投資も中計で定めた水準に戻し、タイでポリエステル短繊維のショートカットの能力増強などを計画する。

 推進中の中期計画(21~23年3月期)について「数値目標は変えない」とし、戦略5領域での取り組みを強化して成長を目指す考えを示した。安心、安全、環境などのニーズは引き続き拡大するとみるためで、「やるべき領域をしっかりと固める」と話す。

 前期に新型コロナウイルス禍の影響を受けた分野は自動車や衣料などだが、自動車は昨年後半から回復に向かった。今期も市場自体は以前の水準には戻らないとみるが、これまで進めてきたシェアアップの取り組みが寄与する見通し。海外・国内向けの衣料は市場回復にまだ時間がかかるとみる中、エコ素材、機能素材を前面に打ち出していく。

 設備投資は昨年前半に抑えた時期があったが後半から再開し、中期計画で定めた水準で進めていく。今期はタイでポリエステル短繊維のショートカットの生産能力を1年かけて20~30%増強するほか、ポリエステル長繊維も設備の高度化でより競争力が高い機能原糸を作れる形とする。

 国内子会社では、1日付で帝人加工糸と新和合繊を統合して帝人フロンティアニッティング(石川県小松市)とした。両社ともニット生地と加工糸を展開していた中、統合で競争力を高める。

 平田社長は「日本での生産についても検討したが、しっかりと国内生産を続けていくという結論に至った」とし、両社の強みを融合して高付加価値化、競争力強化を図る。ファッション用織物が主力の帝人フロンティアDG(新潟県見附市)は、ユニフォーム用を伸ばして事業の安定化を図る。