UTCとシキボウ/繊維で営業・開発連携/強み融合で構造変化に対応

2021年04月07日 (水曜日)

 ユニチカトレーディング(UTC)とシキボウは繊維事業の営業と開発の両面で連携する。UTCが持つ差別化の合繊素材や不織布とシキボウの天然繊維紡織や衛生加工技術を融合させることで、新型コロナウイルス禍によって加速した繊維製品市場の構造変化への対応に取り組む。

 近年、環境配慮やサステイナビリティーへの要求が世界的に高まり、消費者の価値観や生活様式が変化しつつある。一方、日本国内の生産労働人口や国内生産基盤は減少しており、繊維産業でも技術の継承・開発の持続性が課題となっている。この変化が新型コロナ禍で加速した。

 こうした構造変化に対してUTCの細田雅弘社長は「“競争”ではなく“連携”が必要な時代になった」とし、シキボウの加藤守上席執行役員繊維部門長も「企業の枠を超えてサプライチェーンをヨコ方向に広げ、シナジーを発揮する必要がある」と強調。両社の繊維事業が開発から営業まで連携することで繊維素材メーカーとしての強みを一段と発揮するために今回の取り組みを決めた。

 今後、開発面ではUTCの差別化合繊長繊維や特殊紡績糸とシキボウの衛生加工などを組み合わせた開発に取り組む。例えばUTCの合繊長繊維をシキボウが活用することやUTCの生機・不織布にシキボウの抗ウイルス加工などを組み合わせる、UTCの複重層糸「パルパー」とシキボウの校倉造り織組織生地「アゼック」を組み合わせるなどが可能になる。

 販売面でも、ユニフォーム、紳士・婦人服、寝装、不織布製品など幅広い用途で連携を進める。海外生産でもUTCのインドネシア紡績子会社のユニテックス、シキボウのインドネシア紡織加工子会社であるメルテックスが連携する。

 両社連携によって開発・販売する商品(糸・生地・製品)を2022年度(23年3月期)までに重量ベースで年間400㌧規模にすることを目指す。既に開発も始まっており、20日から東西で開催するUTCのユニフォーム展示会で共同開発品の一部を披露する。