東洋紡/フィルム・ライフサイエンスで拡大/中東・ユニフォームに重点

2021年04月14日 (水曜日)

 東洋紡は2021年度で中期4カ年計画の最終年度を迎えており、目標に掲げた売上高3750億円、営業利益300億円の達成は敦賀事業所第二における火災、新型コロナウイルス禍で難しくなったとみている。しかし、次代の成長を担う4ソリューション本部体制への再編、フィルム事業でのM&A、エアバッグ用ナイロン66事業での海外進出といった施策を講じてきており、21年度はこれらの刈り取りに重点を置き、再び成長路線へと回帰させる。

 同社は22年4月から次期中期4カ年計画に移行することにしており、1日付で就任した竹内郁夫社長は「私の経営方針を1年前倒しして導入し今年度から取り組む」と語る。

 M&Aも実施したフィルム、ライフサイエンスの両事業が「今後の当社の業容拡大をけん引する」としており、繊維事業ではエアバッグを中心とする産業資材領域を伸ばす。

 衣料繊維事業では、自社の強みに位置付ける中東輸出、ユニフォーム、スポーツに経営資源を重点的に投入し収益改善を急ぐ。販売好調が続く高機能ニットシャツ地「Zシャツ」では、21年度も拡販を計画する。

 インドラマグループとの合弁で設立したタイのエアバッグ用ナイロン66工場は予定よりも多少遅れて来春から稼動させる。ユーザーからの認証に時間を要するため、業績に寄与してくるのはさらに先になる見通し。

 現在はコスト高の買い糸で展開している分、収益的に苦しい状況を強いられているものの、タイでの量産が滑り出す「23年度に黒字に浮上させる」方針。

 不織布事業では、岩国事業所(山口県岩国市)にこれまでは外部から調達していたマスクや防護服向けポリプロピレン不織布を製造する新拠点(年産1200トン)を設立し来年7月から量産をスタートさせる。

 岩国では耐久性、集じん効率をアップさせた高機能不織布、環境に配慮した原料による不織布の開発にも取り組み、グローバルな事業拡大を目指す。