クラボウ/次期中計へ態勢固め/繊維は新商材で具体的成果を

2021年04月15日 (木曜日)

 クラボウは、3カ年中期経営計画の最終年度となる今期(2022年3月期)を次期中計に向けた態勢固めの1年と位置付ける。新型コロナウイルス禍による打撃からの回復を進め、現中計スタート時の実績である連結営業利益56億円を確保することで22年度(23年3月期)から始まる次期中計で目標に再チャレンジする態勢を目指す。

 現中計は最終年度となる21年度に連結売上高1700億円、営業利益90億円を計画していたが、新型コロナ禍によって計画の前提が大きく変わり、目標の達成は困難となった。このため藤田晴哉社長は「今期は、現中計スタート時の基準年度(19年度)実績である営業利益56億円を回復させ、そこから少しでも上積みすることで22年度からの次期中計で改めて挑戦できる態勢を作る」と話す。各事業とも新型コロナ禍を契機に顕在化した課題を克服し、新商材や新規事業などで具体的成果を上げることに取り組む。

 繊維事業は「21年度も厳しい環境が続くが、これまでに打ち出した新しい商材の販売をどれだけ拡大できるかが重要になる」と言う。抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」や原綿改質による機能糸「ネイテック」、電気・電子分野の国際標準団体である国際電気標準会議(IEC)の規格に対応した制電ユニフォーム素材「エレアース」、ワーキングパンツ一体型サポートウエア「CBW」などの拡販に取り組む。

 伊藤忠商事との提携の成果を具体化させることにも取り組む。伊藤忠の環境配慮素材プロジェクト「レニュー」の再生ポリエステルを採用したサステイナブル・インサレーション(中材)「エアーフレイク」の開発などが進む。裁断くずを紡績原料として再利用する「ループラス」もエドウインとの取り組みで新たに回収した使用済みジーンズを原料に再利用するプロジェクトが始まった。

 一方、カジュアル素材は海外メーカーとの競争激化で苦戦が続いていることから、営業体制も変更し、立て直しを図る。藤田社長は「当社の生地の価値が認められるゾーンに向けて、課題解決型ソリューション営業を強化する」と話す。

 そのほか、化成品事業は需要が堅調な半導体製造装置向け樹脂加工品などの拡大を進める。環境・メカトロニクス事業は、ロボットビジョンセンサーシステム「クラセンス」の実用化を加速させるほか、2月にグループに加えたファクトリー・オートメーション装置設計製作のセイキ(富山県魚津市)とのシナジー発揮にも取り組む。