中国「寧波阪急」/モール融合型で地域一番店目指す/高級消費の国内シフト追い風に

2021年04月19日 (月曜日)

 阪急阪神百貨店を展開するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は16日、中国浙江省の寧波で商業施設「寧波阪急」の全フロアの営業を始めた。海外高級ブランドの充実や、百貨店とモールを融合した体験重視の売り場などを強みに、地域の圧倒的一番店を狙う。新型コロナウイルス禍を受けた高級品消費の国内シフトを受け、好発進しそうだ。

(岩下祐一)

 寧波阪急(売場面積11万6千平方メートル)は、地下1階から地上6階までの7フロアに約360ブランドが出店する。8日に1、2階(海外ブランド、化粧品など)を除くフロアをオープン、16日に1、2階の営業も始めた。16日時点で9割近いテナントが開店している。

 寧波は、経済と政治の影響力が大きい上海などの大都市の「1級都市」に次ぐ「2級都市」の位置付けだ。「改革開放」後、早くから民間経済が発展してきた。繊維が祖業の杉杉集団や、メンズブランドの雅戈爾(ヤンガー)など、著名な大手民営企業が多い。

 常住人口は約800万人で、上海(2500万)などと比べると見劣りするが、「富裕層の割合は上海に負けない。消費力がある」(地元企業のトップ)。市内のアウトレットモールに出店する「ナイキ」店舗の年間売上高は2億元に迫り、同ブランドのアウトレット店としては世界トップといわれている。

 その寧波の新都心として、ここ数年マンションや商業施設の建設が進む東部新城で、同店はオープンした。特徴の一つが、海外の高級ブランドが寧波で最も充実していることだ。海外高級ブランドを扱う商業施設は他にもあるが、ブランド数が限られ、富裕層はこれまで海外や上海などで購入していたとみられる。

 同店の約360ブランドのうち、150ブランド強が寧波初出店で、そのうち30ブランドは「バレンシアガ」「モンクレー」「セリーヌ」などの海外高級ブランド。16日の開店時に来店し、「ルイ・ヴィトン」のバッグを購入した20代の地元女性は「(以前旅行で行った)大阪の本店とどう違うか興味があった。寧波に阪急ができて便利になった」と笑顔を見せた。

 同店のコンセプトは、百貨店とショッピングモールを融合した「デパートメント・モール」で、「ハイエンド・好感度のファッション」と「上質で楽しい食」「体験とエンターテイメント」「ジャパンコンテンツ」の四つを打ち出す。寧波だけでなく、省都の杭州を含めた浙江省商圏の一番店を目指している。

 海外高級ブランドの充実にこだわったことが主な原因で、同店の開業は当初予定の2018年から大きくずれ込んだが、怪我の功名になりそうだ。昨年から新型コロナ禍で高級品消費が国内シフトし、高級ブランド各社の売り上げは好調に推移する。

 寧波経済は成長が続き、消費者も洗練されつつある。隣接するオフィス物件の価格は5年前、1平方メートル当たり2万7千元だったが、現在は6万元に値上がりしている。こうした追い風も受ける中、モール融合型百貨店の好発進が注目されている。