東レ・オペロンテックス/「ライクラ」値上げ/300円アップを要請

2021年04月22日 (木曜日)

 東レ・オペロンテックスはスパンデックス「ライクラ」の原料価格が急騰しているため、4月1日出荷分から300円(1キロ当たり)アップを目標に値上げに着手した。

 スパンデックスの粗原料である1・4ブタンジオール(BDO)や主要原料のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)の価格が急騰している。

 BDOの用途はスパンデックス、PBT繊維や樹脂、医薬品、洗浄剤、溶剤と多岐にわたっており、昨年の夏以降、自動車用途での需要が急回復するに伴いBDOも復調。

 生分解性プラスチックにも使われており、中国当局が今年1月から非生分解性プラスチックの使用制限を表明したため、レジ袋などでの需要急増によって原料の需給バランスが一気にタイト化したという。

 寒波の影響で北米での原料生産に支障が生じたこと、BDO生産から撤退するメーカーが現れたことなどが重なり、BDO、PTMEGとも年末にかけて価格が3倍以上に高騰した。

 このため、同社はコストアップを自助努力だけでは吸収できないとして、需要家に20~30%に相当する値上げを要請することにした。

 今後の原料価格の推移について、同社はこれ以上、上がることはないと見ているものの、「いつから下がるのかは見通せない」(田村敦彦取締役営業全般担当)としている。

〈エコタイプを本格販売/ライクラ販売量の回復急ぐ〉

 東レ・オペロンテックスはスパンデックス・ライクラ事業で2021年度は、現在開発中のリサイクルタイプの市場導入を急ぐとともに、アパレル向けの販売を回復させ、ライクラ全体の販売量を19年度の90%近い水準に回復させる。

 新型コロナウイルス禍で20年度、ライクラの販売は紙おむつ向けが相対的に堅調だったが、アパレル向けを中心に上半期は大きく落ち込んだ。

 しかし、昨年11月ぐらいからアパレル向けが回復し、今年1~3月期には「輸出を含めて予想を上回る販売量を確保」(田村敦彦取締役営業全般担当)し、アパレル向けライクラの生産ラインがフル操業に転じた。

 21年度は、紙おむつ向けの販売に大きな変化は見られないものの、アパレル向けが堅調に推移するとみており、ライクラ全体の販売量を19年度対比で上半期に80%、下半期に90%水準まで回復させる。

 かねてマテリアルリサイクルで生産する再生タイプのライクラ量産に意欲を示してきており、現在はインナー・肌着や紙おむつでユーザーからの評価を仰いでいる段階にある。

 GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証の取れる再生原料20%混を中心に「どの用途にどういう混率の素材を導入するかを絞り込んでいる」としており、21年度中に実際の販売をスタートさせたい考えだ。

 消臭タイプ「T―327C」の性能をアップさせるための開発にも力を入れており、21年度も高機能糸のラインアップ増強に重点的に取り組んでいく。