ニイハオ!/南通帝人 董事長・総経理に就いた東 政宏 氏/オールラウンダーとして力発揮

2021年04月27日 (火曜日)

 テキスタイルと糸双方に精通し、素材の新規用途開拓や企画もやってきた。帝人フロンティアの中でも数少ないオールラウンダーだ。「前任者(三森啓章氏)の後任がなかなか決まらないと聞いていた。織物が分かり、営業経験があり、マネージメントができる人材を部下の中から探していたところ、自分にお鉢が回ってきた」と笑う。

 20年8月に今回の異動発令を受けたが、新型コロナウイルス禍の影響で着任は10月になった。それからわずか半年の間に、新機軸を矢継ぎ早に出している。

 同社の売り上げの多くは、スポーツ・カジュアル向け織物によるものだが、「日本では用途が偏っていたことで痛い目に遭った。多様化をさらに進めるため、新規事業開拓室を新設した」。

 工場の敷地をほぼ使い切っており、新たな設備の増設が難しいため、コンバーティングの強化が売り上げ拡大の鍵を握る。そこで織物、編み物ともに外注工場で“帝人品質”を維持していくために、外注工場を管理する専門部隊を作った。「外注工場を一元管理し、コンバーティングを拡大していきたい」と話す。

 直近の10年弱、日本でPTT(ポリトリメチレン・テレフタレート)繊維「ソロテックス」の拡販に精を出した。今でもノートパソコンの中には、「ソロテックスに関する資料が山のように残っている」。

 合弁だったソロテックス事業はいったん中断したが、12年に帝人フロンティア単独の事業として再開した。「海外生産に活路を見出したが、最初はボロボロ。C反ばかりだった」。悪戦苦闘が2年ほど続くが、次第に品質が安定、セレクトブランドなどに採用が始まり、販売は軌道に乗った。

 中国ではこれからだが、知名度は徐々に高まっている。ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)が値上がりし、ソロテックスとの価格差が縮まっていることも追い風になる。「そろそろいけそうだ。特にエコタイプに期待している」。内販拡大の武器として活用していく考えだ。

 あずま・まさひろ 1989年関西学院大学法学部卒、帝人入社。婦人衣料部薄地織物課で営業を担当。その後テキスタイルと糸の営業、ナノファイバー事業の立ち上げなどに携わる。2012年帝人フロンティアSPA・アパレル部部長、13年原料部部長、16年繊維素材本部本部長。20年8月から現職。趣味はバドミントン。55歳

(上海支局)