東洋紡 エアバッグ用ナイロン66事業/21年度は大幅増産・増販/23年度からの黒字浮上目指す

2021年05月10日 (月曜日)

 東洋紡はエアバッグ用ナイロン66事業で、2021年度は大幅増産・増販を計画している。北米の原料メーカーが表明したフォースマジュール(不可抗力)による影響への懸念を強めているものの、ドイツのPHPグループとの連携を強化してきたことで「顧客からグローバルサプライヤーとして認知されてきた」としており、タイに建設中の新工場での量産が立ち上がる23年度で黒字転換を目指す。

 東洋紡はPET樹脂製造で世界最大手のインドラマ・ベンチャーズ(タイ)傘下のインドラマ・ポリエステル・インダストリーズ(IPI、同)との折半出資で合弁会社・東洋紡インドラマ・アドバンスト・ファイバーズを設立した。

 IPIの工場敷地内にエアバッグ用ナイロン66を生産する新工場の建設を進めており、2022年春からの量産を計画する。生産能力は年産1万1千㌧。

 現在はコスト高の原糸を外部から調達しているため、収益的に苦しい状況を強いられているものの、タイでの量産が滑り出す23年度に黒字に浮上させる。

 東洋紡、インドラマともモビリティー事業を最重要分野に位置付けており、東洋紡は日本、タイ、中国、米国、欧州に展開する生産拠点を駆使しエアバッグ事業の拡大に力を入れていく。

 新型コロナ禍の影響で20年度、ナイロン66の販売量は上半期に大きく落ち込んだものの、自動車生産の回復につれて下半期には「ほぼ前年並みの水準に戻せた」と言う。

 北米原料メーカーが表明したフォースマジュールに伴い、「顧客との調整を行っている」ものの、極端な影響は発生していないとしている。

 それよりも、半導体不足による自動車生産の失調に懸念を示しており、「長期化した場合には7月ごろから影響が出てくる」と見通している。

 21年度はこれらの推移を注意深く見守りながら、エアバッグ事業の反転を計画しており、PHPとの連携も強化し大幅増産・増販に転じたい考えだ。