コウジ酸固着生地発表へ/シキボウ技術確立し特許出願

2002年01月25日 (金曜日)

 シキボウは、コウジ酸を固着させた生地を商品化、「ウリアントホワイト」商標で発売する。コウジ酸は、酒、みそ、しょうゆなどに含まれている成分。メラニン色素の合成を抑制する効果があることが確認されており、シミや黒皮症の治療薬として利用されている。シキボウはそれを、洗濯で容易に溶け出さず、かつ汗で徐々に溶け出すようにセルロース繊維(綿など)に架橋結合させる技術を確立した。

 コウジ酸に、メラニン色素の合成を抑制する効果があることは、中山秀夫氏(中山皮膚科クリニック院長)によって20年前に発見された。同氏はコウジ酸を用いて、シミや黒肌症の患者の治療薬も開発している。「1%コウジ酸配合したクリーム使用により、顔面色素沈着症患者に対し86・5%以上の有効性が確認された」という臨床試験結果もある。

 シキボウは、このコウジ酸を繊維に固着させる技術を、中山氏の助言を得ながら確立した。コウジ酸を含む生地は、普通だと変色しがちだが、その問題も解消させたという。昨年、特許権を出願した。この技術で処理した織物を、愛知県江南市の直営加工場(江南工場)の既存設備と、協力関係にある工場を使って、商業生産する。編地も、協力工場で生産する。

 同社が公表した試験結果によると、洗濯を10回繰り返しても、生地にコウジ酸が残っていた。「残ることを、洗濯30回まで確認した」と言う。汗による溶出の度合いは、処理済の生地に未処理生地を重ね、その上から人工汗液を滴下し、未処理生地へのコウジ酸の移行を見るという方法で調べた。その結果、洗濯10回後の処理済生地の場合でも、未処理生地へコウジ酸が溶出することを確認した。また、このコウジ酸固着生地は、抗菌性も備えている。さらに、紫外線遮断性も高い。加えて、衣類に付着した皮脂の酸化を抑制する働きも持つ。

 肌着、パジャマ、ブラウス、ドレスシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、パンツなどの衣料素材、シーツ、ふとんカバー、ふとん地、ピロケース、綿毛布、タオルケット、ハンカチ、タオル、ガーゼ(寝間着、ハンカチ)などの寝具素材として、来年初夏商戦向けに発売する。初年度は、編地で2億円、織物で2億円の、合計4億円の売り上げを狙う。