クラボウ/対応策の成果具体化/繊維は来期黒字浮上へ

2021年05月14日 (金曜日)

 クラボウは今期(2022年3月)、連結売上高1280億円、営業利益50億円、経常利益57億円、純利益40億円を計画する(今期から「収益認識に関する会計基準」を適用するため前期比増減率は記載せず)。藤田晴哉社長は「この1年間の経験で人々の新型コロナウイルスへ対処の仕方も進化している。年後半にはワクチン接種も進むだろう。安全を第一にしながら、昨年度よりは落ち着いた事業活動ができるはず」と話す。

 前期は営業損失となった繊維事業は今期、売上高440億円、営業損失8億円を見込む。今期は営業損失を大きく圧縮した上で、新しい中期経営計画の初年度となる来期(23年3月期)での黒字浮上を目指す。そのために「既に対応策に着手している」(北畠篤取締役兼常務執行役員繊維事業部長)とし、その成果の具体化に取り組む。

 20年3月に紡績の丸亀工場を閉鎖し、生産の一部をインドネシア子会社のクマテックスに移管することで稼働率改善を図ったが、前期は新型コロナ禍の影響で十分な成果が上がらなかった、今期は生産効率化の効果を発現させる。

 抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」も新型コロナ禍を契機に用途が拡大した。タイ子会社での生産も可能にしたことから、国内だけでなくアジア市場でも拡販を進める。

 天然繊維への原綿改質技術「ネイテック」も製造設備への投資が完了したことから、これを生かした販売の拡大に取り組む。

 流通在庫増加で低調が続いていたユニフォーム地も、ここに来て備蓄ユニフォームアパレルのカタログ定番品への新規採用や別注案件の獲得など商況が好転しつつある。サポートウエアなど新領域に向けた開発も進む。こうした取り組みで拡販を進める。

 伊藤忠商事との戦略的パートナーシップによる商品開発と事業化を進め、繊維事業の23年3月期での黒字化に向けた基盤整備に取り組む。