東レ/中経達成へ繊維がポイント/22年度へ再成長に期待

2021年05月26日 (水曜日)

 東レは、2022年度(23年3月期)が最終の中期経営課題の達成に向けた施策を着実に進める。ワクチン接種の進展で新型コロナウイルス禍は今年度中に収まるとみて、当初掲げた最終年度の目標を堅持する。日覺昭廣社長は「目標達成は繊維事業と炭素繊維複合材料事業がポイント」とし、両事業の再成長を見込む。

 中経初年度の20年度は、前半に新型コロナ感染拡大の影響を受け、繊維事業が数字を落とし、炭素繊維複合材料事業は赤字に転落した。21年度は炭素繊維複合材料事業で損失が残る見通しながら全体で増収増益を計画するなど回復基調にあり、日覺社長は「期中の上方修正に期待」を示す。

 業績回復のポイントの一つに挙げる繊維事業は、衣料分野は国内で厳しさが残るが、ワクチンの接種が進んでいる米国や欧州のアパレル企業からのオーダーは戻ってきた。三木憲一郎常務執行役員繊維事業本部長は「これからしっかりと売っていく」とした。

 21年度に繊維で拡大を見込むのがエアバッグ事業だ。フル生産・フル販売に近い状態が続き、今後どの地域での強化が最適なのかを考える時期に入っているが、基布生産に関しては増強が決定している。縫製を含めた次の大きな増設の検討を進めるなど、22年に向けて方針を描き直す。

 炭素繊維複合材料事業については風力発電翼向けの強化を図り、ラージトウの供給を拡大する。新型コロナの影響で一時市況が大きく低迷した航空機用途も回復の兆しが見えてきたとしている。そのほか、サステイナビリティーへの対応を全体の成長の原動力に位置付けている。