この人に聞く/東洋紡STC ユニフォーム事業部長兼スクール事業部長 林 英昌 氏/コロナ前への回復目指す

2021年06月09日 (水曜日)

 東洋紡STCは4月1日付けで、衣料繊維事業をこれまでの4事業部から、新たにスクール事業部を加えた5事業部に再編する組織改正を実施した。同日付でユニフォーム事業部長とスクール事業部長を兼務することになった林英昌氏にスクール事業部を新設した狙いや最近の状況を聞いた。

  ――スクール事業部を発足させた。

 これまで素材別に組織を編成していたのをマーケットごとにくくり直し、新組織としてスクール事業部を立ち上げました。扱っているのは、ほとんどが学校体育衣料で、一部にブレザー用のニットなどがあります。

  ――2020年度はどうだった。

 元々、堅調な市場でしたが、さすがに去年は新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられました。大会やイベントが相次いで中止になっただけでなく、新規購入も落ち込みました。

  ――21年度をどう見通している。

 イベントや大会の開催が少しずつ復調傾向へと転じていますが、緊急事態宣言が延長されましたし、まだまだ本調子には遠いなとみています。流通在庫も残っていて、しばらくは調整局面が続くとみています。それでも、今年4月の新入生への納入分は順調といえば順調でした。

  ――21年度、重視しているのは。

 当事業部はテキスタイル売りがメインですが、今後は製品までを一貫して供給できる体制構築を目指します。国内外の縫製拠点を駆使した製品OEMを増やしていきます。インドネシアを中心に、ブレザーやパンツのような重衣料ならばベトナムの縫製工場を活用し、顧客のニーズにお応えしていきます。

  ――戦略素材に位置付けるのは。

 アパレルからはエコやSDGs(持続可能な開発目標)を求めるニーズが高まっており、今後の拡販にはエコ素材による企画をラインアップすることが欠かせなくなってくるでしょう。まず、PET再生ポリエステル「エコールクラブ」による開発を強化していきます。いずれは、製品を回収して再生する取り組みが求められてくるでしょう。

 それと、ドレスシャツ向けの販売が急増している高機能ニット「Zシャツ」をスクール用途にも提案していきます。今後はブレザーの需要増が見込まれており、このゾーンには中肉の高機能ニット「Xジャケット」を打ち出そうと考えています。

  ――21年度の販売計画は。

 業界を取り巻く環境は決して良くありませんが、業績・販売量を何とか19年度並みに戻すべく、いろいろと対策を講じています。