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学生服メーカー/ブレザー化への対応強化/LGBTQへの配慮一段と

2021年06月10日 (木曜日)

 学生服の今入学商戦は、全国で休校が広がった昨春に比べ、納品調整など大きな混乱はなかった。性的少数者(LGBTQ)の人々に配慮する動きが一段と強まり、学生服メーカー各社は制服のブレザー化への対応を強化している。

(小野 亨、宇治光洋)

 トンボ、菅公学生服、明石スクールユニフォームカンパニー(SUC)は今春も制服モデルチェンジ(MC)を堅調に獲得し、2020年度売上高の計画達成を見込む。全国の学校で授業がおおむね通常通り実施されたことで、昨年のような納入の混乱はなく、各社は例年通り納品に対応した。

 店頭向け商品の販売では一部で新型コロナウイルス禍の影響を受けた企業もあるものの、学生服自体が必需品であり、販売が大きく落ち込むことはなかった。半袖シャツなど夏物の遅れもなかったが、水着は授業の動向が不透明で読み切れないとの声が多い。

 今春、MCが活況だった背景の一つに、LGBTQの人々への配慮などで進む制服のブレザー化がある。トンボは今春、ブレザーの納品が増加したため、男女兼用のジャケットやネクタイなど「スタイルによるデザインの差がつかない制服が主流になる」(恵谷栄一取締役営業統括本部副本部長)とみている。

 自治体単位の統一型標準服の採用も増え、先行する福岡市を皮切りに「21年入学商戦で流れが一段と加速」(菅公学生服の問田真司常務)。同社は中学校の詰め襟学生服の比率を6割とみるが、数年後にブレザーとの比率の逆転を想定する。

 ニッケ衣料繊維事業本部販売統括部スクール販売部の幾永詩木部長は、義務教育の公立中学校で男女別デザインが容認されなくなり、「中学校の詰め襟、セーラーの姿を見なくなる日も近い」と言う。

 同社の調査によると今春のMC校数は234校となり、直近10年で最多となった20年春の272校に次ぐ水準だった。複数の自治体による統一型ブレザーの採用が一つの要因になったためだ。今後もこの傾向が続くとみており、来春のMC校数を267校と見込んでいる(5月末時点)。6月以降の状況次第では、20年春を超える可能性もある。

 詰め襟学生服、セーラー服からブレザーへの変更は生産体制の見直しなどに影響しそうだが、上衣の需要自体には基本的に影響しないとみられる。ただ、スカートとスラックスの選択制の採用も増えたことで、コストアップにつながる注文の増加が懸念される。

 実際、明石SUCは「2月にスラックスで小口・短納期の注文が急増し、生産面で危機感を覚えるほどだった」(柴田快三常務営業本部長)と言う。こうした動向と併せて、原材料費や人件費の高騰も続いており、コストアップの要因が散見する。

 厚生労働省は4日、2020年度の出生数が84万人で統計開始以来最少となったことを発表しており、少子化の加速によって学生服市場の縮小も想定される。人工知能(AI)やモノをインターネットにつなぐIoTの活用など、業務効率化に向けた対応も今まで以上に不可欠になるとみられる。