クラボウインターナショナル/SDGsの取り組み加速/グループ連携で

2021年06月18日 (金曜日)

 クラボウインターナショナルは、グループ連携を軸にSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを加速させる。

 今年3月、独自のサステイナブル素材ブランド「エコロジック」を立ち上げた。「リサイクル」「オーガニック」「ルナセル」の三つに分類し、リサイクルでは再生ポリエステルや再生綿を、オーガニックでは認証付きのオーガニックコットンを、ルナセルでは動物性コラーゲンとセルロースを融合させた同名の素材を原綿、原糸、生地、縫製品で展開する。

 下げ札も作成してアピールしたところ好評で、食品白衣に再生ポリエステル使いの生地が採用され、他にもダブルネームの商品が完成するなど幸先の良いスタートを切った。

 クラボウの「ループラス」は安城工場(愛知県安城市)で発生した裁断くずを開繊・反毛するアップサイクルのシステム。大手ジーンズメーカーとの取り組みが進む。

 ゼロエミッションにもグループを挙げて取り組む。クラボウの国内全6工場で再資源化率98%を達成しており、クラボウインターナショナルの竹田、村上、両縫製工場でも2019年から発生ゴミの再資源化率が100%になった。この取り組みに賛同し、同社に縫製依頼を発注する国内アパレルも増えているという。

 こうしたSDGsへの取り組みをアピールし、商機を得ると同時にデジタル技術の活用にも力を入れる。縫製工場への品質管理、技術指導の際のリモート化とその精度向上に努める。ウェブ展示会の開催、仕様書、パターン、デザインなどをデータベース化して知財として蓄積する取り組みなどを進める。

〈QR対応と経費節減で減収増益/21年3月期〉

 クラボウインターナショナルの21年3月期は、前期比減収増益だった。新型コロナウイルス禍の衣料品不況の影響を受けて大幅減収減益を見込んでいたが、期末の小口短納期受注に対応できたことなどで大幅減収を免れ、海外出張旅費の減少などで増益となった。

 中国の協力縫製工場のQR機能を発揮し、減収幅を「最小限に」(西澤厚彦社長)抑えた。製品OEMが主事業の同社は品質管理、技術指導のために頻繁に海外出張に行っていたが、新型コロナ禍の渡航制限によりその機会がほぼ消滅。出張旅費が大幅に減った。品質管理と技術指導はリモートを駆使して行い、「大きなトラブルは発生しなかった」。

 増益には東京支社を2フロアから1フロアにするなど各種経費節減策も貢献した。

 今期業績は横ばいを見込む。