クローズアップ/東洋紡STCマテリアル事業部長 宮嵜 勝浩 氏/高機能+サステを前面に

2021年06月23日 (水曜日)

 東洋紡STCは4月1日付で組織改正を実施した。これまでの4事業部からスクール事業部を加えた5事業部体制に再編。同日付でインナー事業部をマテリアル事業部に改称した。初代事業部長に就いた宮嵜勝浩氏に名称変更の狙い、インナー事業の近況を聞いた。

  ――インナー事業部からマテリアル事業部に名称を変更した。

 これまでは衣料分野に取り組んできました。もっと新しい客先を開拓していくため、マテリアル事業部に名称を変更しました。元々、原糸販売グループがアウター向けの綿糸の糸売りやミシン糸を販売してきましたが、今後は生活資材や寝装・寝具へも用途を広げていきます。

  ――主力のインナーの状況は。

 2020年度は新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられました。しかし、21春夏向けの商談が始まった昨年の下半期から販売量は回復基調へと転じています。

  ――21年度をどう見通している。

 割りと楽観的にみています。ワクチン接種が進み、新型コロナ禍が徐々に収束に向かうに伴い購買意欲も戻ってくるでしょうから、われわれの販売も新型コロナ禍以前の19年度の状況に回復するとみています。

  ――22春夏に向けたモノ作りの進ちょくは。

 相変わらずインナー・肌着では綿が売れ筋ですから、当社は高機能とサステイナブルを両立させた綿100%を中心に企画を組み立てています。この1~2年でお客さんの関心は一気にサステイナブルに集まりました。これまで無関心だった客先からも「サステ」を言われています。オーガニックコットンに吸汗性能を持たせた「爽快コット―O」、消臭機能を持たせた「デオドラン―O」を打ち出しています。

  ――何か新しい開発は。

 新しい抗菌加工の開発を進めています。もっと多くの菌に抗菌機能を発揮させられるような加工を目指していて現在、その機能の検証に取り組んでいます。それと、長短複合糸「マナード」の幅出しの一環として、オーガニックコットンと再生ポリエステルをミックスした「マナードEC」の販売を21春夏から立ち上げました。

  ――先にマスク向けの不織布の販売に乗り出した。

 入善工場(富山県入善市)で抗ウイルス「ヴァイアブロック」によるサーマルボンド不織布を生産しています。お客さんからはいろいろな案件をいただいており、現在も作り込んでいる最中です。