特集 カーテン(2)/製造卸/衛生や分かりやすさテーマに

2021年06月30日 (水曜日)

〈毎日触れるものに安心を/「トルウイルスSカーテン」発刊/シンコールインテリア〉

 シンコールインテリアは、衛生意識の高まりを受け、抗ウイルス加工カーテンの販売に力を入れる。21日、抗ウイルス加工カーテンの単冊見本帳「トルウイルスSカーテン」を発刊し、収録品を発売した。

 繊維評価技術協議会の厳正な評価基準に合格した抗ウイルス加工と制菌加工を施した。衛生的な空間づくりが必要とされる医療・福祉施設などに向け訴求する。ベッド間の間仕切りに使えるネット一体型やドレープ、レースなど3柄11点を収録した。全点ウオッシャブルで防炎機能付き。

 抗ウイルス加工は繊維製品に付着した特定のウイルスの数を減少させる。標準布と抗ウイルス加工布のそれぞれにウイルスを接種して25℃で2時間放置すると、標準布に比べウイルスは99・9%以下に。短時間で効果を発揮する。家庭洗濯5回後でも効果を維持するという。制菌加工は繊維上の細菌の増殖を抑え繊維を清潔に保つ。

 制菌加工の制菌エフェクトGに抗ウイルス加工も付与した“制菌エフェクトGY”、従来から人気の商品をドレープの抗ウイルス加工品として新色をそろえた“ソフィアY”、遮熱性やUVカット機能に優れたミラーレースタイプの抗ウイルス加工レース“TA―81”をラインアップ。TA―81は太陽熱を反射して室内の温度上昇を抑制する機能もある。

〈高額品が健闘/今後は既存品の再販促も/川島織物セルコン〉

 川島織物セルコンのオーダーカーテン事業は4~6月、ほぼ計画通りの業績で推移している。強みの高額品が健闘。昨秋、新商品を出した「スミコホンダ」「モリスデザインスタジオ」がけん引する。

 百貨店や大手家具店での上顧客を対象にした催事販売が好評。中でも高齢者などが生活圏内で買い物する傾向を受け、都心より地方・郊外の店が堅調な売れ行きを見せる。一方、都心では百貨店の外商経由の受注が増えている。引き続き売り先と連携し、新型コロナウイルスの感染状況の変化に応じて販促していく。

 職人技や自然素材、ミニマル、機能的といった要素で注目される、日本(ジャパン)と北欧(スカンディナビア)のインテリアを融合した“ジャパンディ”のトレンドも、同社にとって追い風となっているようだ。

 緊急事態宣言の影響はあるものの、各地の自社ショールームでは予約がコンスタントに入り、利用者はじっくりと商品を選ぶ。ウイズコロナが常態化する中でインテリアを楽しむ機運の広がりが感じられるという。

 今後は見本帳更新に伴う新作主体の提案だけでなく、既存商品の掘り起こし・再販促にも力を入れる考え。今のライフスタイルに合わせ新たな角度で編集し、提案の幅を持たせる。独立から半年になるLIXILのルートでは「ブランシェⅡ」が堅調。今後も重要な得意先として働き掛けていく。

〈低価格化の流れに対応/ワンプライスの見本帳を発刊/サンゲツ〉

 サンゲツは家庭用カーテンの低価格化の流れに合わせて、ワンプライスが特徴の見本帳第2弾を9月に発刊する。中高級ゾーン向けとしては5月に別の見本帳を既に発刊しており幅広い価格帯の商品をそろえる。需要が高まっている抗ウイルスカーテンの拡充も図る。

 前期は新型コロナウイルス禍によって、カーテンと椅子生地を合わせたファブリック事業は苦戦した。その一方で家庭向けのカーテン販売は堅調に推移。特にワンプライスの見本帳「シンプルオーダーvol.1」の商品は「お値打ちで分かりやすい価格」であることから好調だった。

 今後も低価格カーテンの競争が激化するとみて、9月に「シンプルオーダーvol.2」を投入。生地にこだわり差別化を図ったほか、室内をトータルコーディネートできるよう施工例写真も工夫した。中高級カーテンでは素材やサステイナビリティーにこだわった「ストリングス2021―2024」を発刊している。

 抗ウイルスカーテンの提案にも力を入れる。29日には抗ウイルス加工、制菌加工の二つのSEKマークを取得した医療・福祉施設向けのカーテンを2柄12点発売した。既にあった遮光や制電カーテンへ新たに抗ウイルス加工を施した。今期は秋以降に医療・福祉施設や学校でカーテンのつり替えが増えるとみて提案を進める。

〈抗ウイルス使い2.5倍に/シアーのデザイン追求/スミノエ〉

 スミノエのカーテン事業の2021年5月期は、前期比微減収だった。ネット通販向けは伸びたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、医療・福祉・教育施設などへの立ち入りが一時的に制限されたことなどでコントラクト向けが伸び悩んだ。その中でもクラボウの抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」を採用した抗ウイルスカーテンは、医療・介護施設などコントラクト用途を中心に採用が広がり、前期比約2・5倍の売り上げだった。

 22年5月期は、7月20日に発売するホームユース用オーダーカーテン見本帳「ユーライフ」などの投入で拡販へつなげる。

 ユーライフは、エレガントテイストとベーシックなナチュラルテイストを併せ持つ洗練された大人に向けたシリーズ。植物のデザインを中心にデザイン性の高いシアーを充実させた。さらにタッセル、トリムなどのカーテンアクセサリーや、大きな窓と小窓のコーディネートを想定した生地を加えるなど、おすすめのコーディネート22プランを用意した。

 クレンゼ使いのカーテンも収録。抗ウイルス加工は、一般的に防炎機能剤との相性があまり良くないが、防炎機能と抗ウイルス機能を両立したカーテンも加えた。タワーマンション向けなどにも訴求する。

 アクリル糸使いで形状記憶加工をせずに収まりの良い「ドレーパブル」シリーズや、ドレープ1種類、レース2種類の3プライスから選べる「シンプルプライス」シリーズも提案する。

〈高機能や高級品で差別化/旅をテーマにした提案も/アスワン〉

 アスワンの2021年3月期のカーテン事業は、前期比5%減収だった。

 大型家具店、専門店、ネット通販などの前売り業態向けは前期並みに推移したが、コントラクト需要が低迷。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言で、20年4、5月の落ち込みをカバーできなかった。

 今期は、20年8月に発売したオーダーカーテン『オーセンスedit.9』に収録されている「SEK抗ウイルス加工マーク」取得のアイテムをはじめ、純銀糸「ミューファン」や難燃アクリル系繊維と抗菌糸を組み合わせた抗菌・防臭アイテムなどの現在のニーズに沿った高機能カーテン、国内最高級ジャガード織物や高級プリントで構成された「ブランドコレクションシリーズ」などを差別化商品に設定。百貨店や大型家具店、専門店業態を通してインテリアにこだわる一般消費者へ提案していく。

 今夏には、オーダーカーテンブック「セ・ラ・ヴィedit.7」発売も予定。巻頭企画「旅のステキ、日々のステキ」では、世界10都市をイメージしたカーテンコーディネートを紹介。自宅で過ごすことが多くなった現在の暮らしを明るく、豊かにできるような旅をテーマにしたインテリア提案も行う。

〈間仕切り/新型コロナ禍で需要増/アイテム充実〉

 新型コロナウイルス禍で、間仕切りのニーズが高まっている。

 立川ブラインド工業は、ニーズを踏まえて間仕切りアイテムを拡充した。

 持ち運びできる塩ビ系レザー間仕切り「アコーデオンスクリーン」の品ぞろえをこのほど、従来と比べて12柄23アイテム増やして全44柄100アイテムにした。

 病院・福祉施設向けなどで需要が高まっており、新型コロナワクチンの接種会場での間仕切りにも採用されているという。今回新たに、透明や半透明タイプをラインアップしたほか、立っていても顔が見えない従来比20センチ増の高さ180センチサイズも加えた。

 同社の室内外装品関連事業の2021年1~3月期売上高は、前年同期比2・0%増の92億円。新型コロナ感染防止対策品の間仕切り透明ロールスクリーンが売れていることも増収要因となっている。

 トーソーは、抗ウイルス・抗菌機能を付与したビニールカーテンを発売した。昨年6月の販売開始以来、感染防止としても好評のビニールカーテンの新アイテム。医療・福祉施設をはじめ、店舗、オフィス、一般住宅まで幅広く提案する。

 製品上の特定のウイルスや細菌の数を減らす。抗菌製品技術協議会(SIAA)が制定した安全性基準に適合し、品質と安全性に関する情報が公開されていることを示す「SIAA」マークを、抗ウイルス加工と抗菌加工の両方で取得している。

〈齋栄織物/インテリア分野を開拓/織機100台がフル稼働〉

 シルク織物製造の齋栄織物(福島県川俣町)は、インテリア用途への販売を広げている。

 同社はフィルターなどの工業資材向けとファッション衣料向けを主要販路とする。保有するレピア織機、シャトル織機計100台がフル稼働を続けているという。

 工業資材用途の米国向けを昨年から安定的に受注していたが、今年はさらに受注が拡大し「織機が足りない」ほどという。

 世界一薄いシルク織物「天使の羽(フェアリーフェザー)」などを展開する国内ファッション衣料向けは新型コロナウイルス禍で落ち込んだが、「今年は昨年よりは回復している」。ただ、イタリアの生地見本市「ミラノ・ウニカ」への継続出展などで開拓してきた欧米市場向けは昨年から低迷したままだ。

 国内、海外のファッション衣料向けが低迷する中、昨年から寝装やインテリア向けを第三の柱に育てる方針を掲げていたが、ここに来て実った。シルク100%でカーテンや壁紙の防火・防炎基準をクリアすることが課題だったが、これをクリアし、あるホテルの装飾用カーテンに採用された。

 このインテリア分野での実績を聞きつけた別のホテル関連業者からも連絡が入り、アポイントが決まった。「今後もインテリア分野を積極的に開拓していきたい」と意気込む。