東洋紡STC 衣料繊維事業/売上250億円・営業黒字を計画/選択と集中を徹底

2021年07月06日 (火曜日)

 東洋紡STCは2021年度(22年3月期)、衣料繊維事業へのてこ入れを強化する。「選択と集中を徹底したい」(清水栄一社長)としており、自社の強みに位置付ける中東民族衣装向け織物輸出、ユニフォーム、スクールに経営資源を重点的に投入し業績改善に取り組む。売上高で250億円前後を計画するとともに営業損益を黒字に浮上させる。

 20年度(21年3月期)は新型コロナウイルス禍に伴いほぼ全事業で苦戦を強いられたため、繊維事業の売上高は19年度比で26・7%減の205億円にとどまり営業損失となったもよう。

 同社は4月1日付けでこれまでの4事業部からスクール事業部を加えた5事業部体制に再編するとともに、インナー事業部をマテリアル事業部に改称する組織改正を行った。

 21年度は、新体制の下、自社の強みに位置付ける中東輸出、ユニフォーム、スクールで競争力強化に取り組むとともにスポーツでは開発型の事業運営を徹底する。マテリアルでは改質原綿や複合糸「マナード」といった独自性の強い商材の糸・わた売りへシフトするとともに、生活資材や不織布などへも販路を広げ、インナー・肌着に偏重する用途構成を変えていく。

 ワクチン接種の浸透によって新型コロナ禍が徐々に収束に向かうにつれて、「衣料品の市況も回復へと転じる」とみており、21年度は20%の増収、営業黒字への転換を計画する。すでに4月、5月で20%前後の増収を達成しているという。

 ユニフォームやスクールでは、テキスタイル売りだけでなく、「海外や他社からの生地の調達にも乗り出し製品OEMビジネスを拡大する」との意欲を示している。

 スポーツでは、ダウンジャケットの表地向けに展開する軽量極薄ナイロン織物「シルファインN」で環境配慮原料への転換などを進めており、再生ナイロンで開発を進める織物の販売を22秋冬からスタートさせたい考えだ。