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特集 オフィス&サービスウエア21秋冬(2)/経営陣に聞く/2021年前半の商況と今後の展望

2021年07月02日 (金曜日)

〈アイトス 社長 伊藤 崇行 氏/SDGsとの結び付きを提案〉

 テレワークの浸透や働き方改革により変化するニーズに対して、事務服にとらわれないレディースウエアとして新たな需要を掘り起こす。飲食サービス向けウエアとともに、新型コロナウイルス禍の影響をもっとも受けている分野。徐々に回復傾向ではあるものの、今後の市場縮小に巻き込まれないために、新規案件獲得に注力し裾野を広げていく方針。

 ユニフォームへの抗ウイルスや抗菌加工について、低コストでの標準化を視野に検討を進めている。営業面では、ユニフォームとSDGs(持続可能な開発目標)の結び付きをどう提案していくかに重点を置く。SDGsの17の目標の中に設けられているターゲットを細かく見ていくと、ユニフォームにできることはまだたくさんある。

 衣服再生プロジェクト「ブリング」に限らず、SDGsへの取り組み方を商品プラスアルファでパッケージ提案していくことで、ユーザーの要望に応えていく考え。

〈住商モンブラン 社長 石川 士郎 氏/3カ年計画策定〉

 2021年5月期は、売り上げが前年同期比1・3%増の122億円だった。計画には届かなかったが、悪環境下では健闘できた部類だと思う。介護・メディカルや食品工場向けが伸びるなど備蓄定番品が好調だった。食品サービスとホテルリネンは世相を反映して落ち込んだ。利益も出張旅費を中心に経費が抑制できたためプラスだった。

 3カ年の中期経営計画を策定した。経営理念と行動指針を明確化し、意識改革と事業構造の転換を図る。売り上げ目標は24年5月期で147億円に設定した。

 近年の業績は堅調から好調と言えるが、「ゆでがえるになるな」という意識で臨みたい。社員一人一人が自ら考えて行動し、マネジメント能力も身に着けてほしい。利益率を引き上げるために備蓄の在り方や物流にもメスを入れる。商品開発ではマーケットインの志向を強める。

〈ボンマックス 社長 外川 雄一氏/デジタル化プロジェクト推進〉

 “コロナ耐性”に強い会社作りに取り組む。秋冬は1カ月前倒しで新商品の販促に着手し、営業活動の強化を図る。

 ユーザー向けの商品説明動画の配信に加え、6月からは販売代理店向けに商品や在庫情報、納入実績などをスマートフォンで確認することができる情報サイトも開設した。

 デジタル採寸はオフィス、サービスウエアを想定して準備を進めているほか、返品までも含めたオールプロセスでのRFID導入を6月から始めるなど、デジタルプロジェクトを強力に推進する。

 2月に新たに立ち上げた開発部は、ジャンルを問わず新たな事業の可能性を探る専門部署。キャンプやメディカル、ふるさと納税など、これまで携わったことがないジャンルをまたいで、さまざまな商機を見いだしていく。宮城県気仙沼市内で閉校した中学校校舎を利用した物流、加工拠点作りを進めている。

〈チクマ アルファピア事業部長 山平 信幸 氏/サステとDXがテーマ〉

 今期(2021年11月期)上半期は、想定通り前年同期比10%減収で推移した。ただし、4月はカタログ備蓄品が好調で15%増と反転した。まだ注視は必要だが、潮目が変わった可能性もあるとみている。

 楽観はしていない。市況は徐々に回復するかもしれないが、下半期も無理はせず、来期への準備を地道に進めたい。

 準備の一つはサステイナブルを意識した取り組みなる。再生ポリエステルや植物由来といった素材面からのアプローチに加え、当社が北九州市で行うマテリアルリサイクル事業を強みに二酸化炭素削減に関心の高い企業への訴求を強化していく。

 デジタル技術で企業を変革するDXの推進も大きなテーマとなっている。販売店と当社、販売店とユーザーをつなげるようなイメージを持ちながら、動画コンテンツを駆使して訴求力を高めていく。

〈カーシーカシマ 常務 増田 庸佑 氏/デジタル化とサステ推進〉

 デジタル化、サステイナビリティーに対する取り組みは専任スタッフを配置して注力する。受発注基幹システムや着せ替えアプリ「スマコミュ」の更新を随時進め営業支援ツールとしての拡充を図るほか、12月をめどにマーケティングデータの採取を目的としたECの立ち上げを予定する。

 サステイナビリティー推進の一環として、今春に自社工場から排出される裁断くずのアップサイクルプロジェクトを、サステイナブル素材開発を手掛けるワークスタジオ(東京都新宿区)と協業で開始している。

 2021年7月期の売り上げは昨対比10~15%増の着地を見込む。21秋冬に向けては、引き合いが堅調な介護向け「ハートグリーン」や、接客サービス向け「エンジョイ ノワール」、ソフトワークウエア「キャリーン」に重点を置く。

 中国現地法人ではデジタルマーケティングが先行しており、日中間でしっかり製販共有していく。

〈神馬本店 社長 神馬 真一郎 氏/商品の企画や時代性など分析〉

 2021年6月期売上高は、前期比横ばいを見込んでいる。新型コロナウイルス禍で制服の更新需要が低調だが、ワンピースで大手の受け付けなど新規案件を獲得し、売り上げ確保した。

 4月はリピート注文が堅調に入ったが、5月は新型コロナの影響もあり、夏物は物件数が低調だった。テレワークの影響だけでなく、景況感自体が厳しい。需要の回復後は今までとは違ったアイテム、時代性、地域性などの分析が必要と考えている。

 引き続き接客向けは事務服に比べ注文が増加傾向にあるため、営業や商品開発を強化する。

 21秋冬のカタログでは消費者目線で見せ方を変え、多様なコーディネートを紹介し訴求を強める。20秋冬に投入した、ポケットフラップを付け替えることでイメージを簡単に変えられる「カラーセレクト+(プラス)」は、接客向けを中心にアイテムを追加し、コーディネートの幅を広げる。カタログと併せてネットの販促も強化する。

〈セロリー 社長 太宰 幹夫 氏/変わる流れ、一緒に作る〉

 上半期(2020年12月~21年5月)売上高は前年同期比7%の増収だった。清潔・衛生のニーズの高まりで抗ウイルスなどの機能を持つハイブリッド触媒「ティオティオプレミアム」加工の商品が販売をけん引した。

 今夏から清掃や介護向けに投入する電動ファン(EF)付きウエアも、ユーザーと密接な関係を持った取引先の開拓もできつつあり、着用者に近いところを掘り起こし、販路を広げる。

 5月から緊急事態宣言の延長が影響し、下半期(21年6~11月)の別注案件が前年より少ない。21年11月期通期売上高では前期並みの44億円前後を想定している。

 新型コロナ禍で会わずにビジネスができる部分もあるが、やはり直接のコミュニケーションが重要。ワクチンの普及で環境が元に戻る可能性もあるものの、デジタル採寸など新たな取り組みが出てきており、これから変わっていく流れを取引先と一緒に作っていきたい。

〈フォーク 社長 小谷野 淳 氏/オフィスウエアの需給注視〉

 新型コロナウイルス禍で主力のオフィス分野とメディカル分野で明暗が分かれた。前期(2021年1月期)は1回目の緊急事態宣言発出の影響が販売面に大きく及んだが、今期(22年1月期)は揺り戻しの動きが出ている。しかしながらアフターコロナにおけるオフィスウエアの需要変化については引き続き注視していくとする。

 21秋冬に向けては洗い替え需要などを見込めるレンタル分野を強化。ウェビナーなどの開催で新たな商品情報の発信を試行していくほか、社内に導入しているフリーアドレス制では、座席の固定化を防ぐためくじ引きを導入するなどしてさらなるコミュニケーションの活性化を図る。

 次亜塩素酸ナトリウム水溶液による色落ちに対する耐性を持つ生地のエプロンをクラウドファンディング(CF)サイト「マクアケ」で5月に発売。メディカルウエアで製品化の実績のある素材を活用することで、新たな市場での顧客開拓を探る。

〈ハネクトーン早川 社長 早川 智久 氏/国内生産体制を拡充〉

 2021年4月期は減収増益となった。商品の粗利率向上や納期対応厳守などによる製造原価抑制、経費節減が増益要因。今期は事業の2本柱となるユニフォームとスクールネクタイ双方に注力し、売り上げ12億円超えを目指す。

 昨年、生地の原料高、最低賃金アップによる人件費上昇、運送費高騰により、商品の値上げを実施。特に運送費は単価1・5~2倍になるというケースもあり、現在も高止まりの状況が続いている。

 今期のスタートとなった5月以降、エステティック業での需要伸長に加え、クリニック、カーディーラーも引き続き堅調なペースを維持する。昨年同時期と比較すると経済は動いている印象を持っている。社内では、活性化を図る目的で組織改編を実施した。

 21秋冬商戦では、新規ルート開拓、主力取引先との関係強化、新たなプロモーションによる国内生産体制の拡充に取り組む。

〈サーヴォ 社長 宍戸 典之 氏/短納期体制動き出す〉

 企業体質の強化施策を次々と実施している。オフィススタイルを「フリーアドレス」に変更したのもその一環だ。部署や役職を超えた社内コミュニケーションの活発化につながっている。

 着任以来、アパレルにできてユニフォームアパレルにできないことはないというスタンスで取り組んできた。オフィスウエア「グロウ」秋冬商品では“45日デリバリー”という目玉施策がスタートする。これまで3、4カ月かかっていた受注から納品までの期間を45日間で行うというもの。そのために生産の中国シフトも進めている。

 ECは実験場として利用している。新商品の売れ筋や製品価格に対する反応、廃棄予定素材の再利用など、消費者の反応を分析し、次の商品開発に生かしていく。

 この他、ベトナムをはじめとする海外販売での活用も視野に入れたデジタル採寸の本格導入や、2022年2月期下半期に導入を予定する生産管理システムなど、デジタル化を進めていく。

〈ジョア 社長 神馬 敏和 氏/「憧れ」追求でブランド力向上〉

 上半期(1~6月)販売は、新型コロナウイルス禍の長期化で大都市中心に不透明感が続く一方、地方の病院やカーディーラーなどの物件獲得で、前年同期比で増加傾向にある。

 気温の上昇が早く夏物の販売が堅調に推移したほか、昨年からの全体のブランドコンセプト刷新も奏功。上質でエレガントながら働く女性が“憧れ”を抱くような「大人の可愛さ」を追求した企画が評価され、新商品の販売は2019年比約3倍に増えた。特に独自の黄金比で腰高&美脚に見える「はなまるワンピース」が好調で、意外に一般事務などでも採用が増えた。

 21春夏に投入した美容医療、エステサロン向けの「ラ・ボーテコレクション」も徐々に引き合いを得ており、美容業界への開拓を一層強化する。

 下半期も見通しは厳しいが、新たなコンセプトによる「新商品の投入」と「ブランディングの強化」、新型コロナ禍収束後に加速できる体制も整え、今期計画の達成を目指す。

〈トンボ営業統括本部 執行役員 ヘルスケア本部長 永瀬 公雄 氏/開発や備蓄対応強める〉

 ヘルスケア本部は2021年6月期、「ヨネックス」ブランドを中心にメディカル・介護ウエアの販売が堅調に推移し、売上高が前の期比10%増となりそうだ。

 販売開始3年目となるヨネックスブランドの21年6月期販売は、前の期比40%増加。商品構成を充実させたことで、病院向けスクラブが介護施設に採用されるなど汎用性で評価される。

 緊急事態宣言の延長で営業が制限されている。病院や介護施設で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、制服更新が先送りになるケースもある一方、患者の急増を受けた緊急性の高い案件が入るケースもある。面会制限の影響で患者が私服を用意できず、患者衣のセットレンタルの注文なども急増した。以前から備蓄の精度を高めており、タイムリーに供給に対応した。

 現場のニーズに合わせ、来期も商品開発や備蓄対応を強める。ウェブの受注システムの充実に加え、代理店の営業支援の仕組みも構築していきたい。

〈明石スクールユニフォームカンパニー アクティブチャレンジ部 企画担当部長 浅沼 由佳 氏/「ルコック」10年目に向けて〉

 アクティブチャレンジ部の上半期(21年1~6月)期売上高は、前年同期比微増となった。新型コロナウイルス禍の影響で新規案件の獲得は低調だったものの、リピートの注文が堅調に増加した。

 中でもケアは感染対策に向けた洗い替えの注文が増え、新型コロナ関連の政府の助成金も増販に寄与した。メディカルは、感染予防のための面会制限で患者が私物のパジャマなどを用意できない状況の中、患者衣の注文が増加した。

 21秋冬は、メディカル・ケア(介護)向け「ルコックスポルティフ」で、マスターパターンを二つ用意するダブルマスターの手法を採用する。グレーディングの細分化で、大柄でも肩幅が狭いといった、より細かな個人差に対応する。

 来年のルコック販売10年目に向けて、商品構成やカラー展開を強化する。ルコック特有のトリコロールの配色だけでなく、華美になり過ぎない程度の明るめの色にも挑戦していきたい。

〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/長期的視点で新商品開発〉

 今春夏商戦は、前年同期比で30%程の大幅増収で推移している。前年は新型コロナウイルス禍で初の緊急事態宣言発出などが影響して20%近い落ち込みとなっていたこともあるが、新型コロナ前の一昨年と比較しても10%程の上昇となっている。買い控えめによる反動や、ワーク分野を中心に別注案件が増えていることなどを要因として挙げる。

 サービスウエアのゼットシャツは、ストレッチ性や通気性が好評で、オフィス・サービス向けだけでなくワーク分野での需要も高まっている。当初6月に予定していた都内での展示会は、感染拡大により取りやめ、代替えとして内見会や動画配信などでアピールする。

 前期決算で思い切った在庫整理を実行。今年度以降は、実需に沿った商品企画と生産に重点を置く。一方、長期的視点で熱中症対策向けなど新たな商品開発にも着手し新市場を開拓する。

〈ガードナー 社長 矢澤 崇 氏/新中計順調にスタート〉

 3カ年の中期経営計画がスタートした2021年12月期。新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言が2度にわたり発出されるなど、周辺環境は厳しさを増す中、ほぼ計画通りの事業進ちょくで推移している。

 特に主力の半導体製造工場向けクリーンルームウエアや、巣ごもり消費を背景に中食を手掛ける食品工場向けの白衣が伸びている。新型コロナ禍の影響はしばらく続くとみており、下半期も慎重に動向を見極めていく。

 クリーンルームウエアでは暑熱対策ニーズへの新たな対応も検討中。食品工場向け白衣は、食品衛生管理の国際基準HACCP(ハサップ)が完全施行となったが、需要はほぼ一巡したと見る。今後は耐久性とのバランスを見ながら制菌などの機能面の強化を図る。

 ベトナムにある3カ所の協力工場では、今のところミャンマー政変による生産への影響は出ていない。

〈サンリッチモード 社長 武田 一光 氏/ライフイノベーション事業強化〉

 利益重視で予算設定した2021年3月期は、ベトナム協力工場の生産体制見直しや、経費削減、使い切り高機能保護服「リブモア」の好調などの貢献により減収ながらも増益を確保した。

 新型コロナウイルス禍による事業への影響は読みにくい状況が続く。22年3月期は、東レグループで取り組むライフイノベーション事業の比重を上げて全体として前年並みクリアを目指していく方針。特にリブモアは、感染対策需要やラインアップ拡充を追い風に販売数も伸びており、売り上げへの貢献を期待する。

 主力のユニフォーム事業は、計画生産の徹底を進めているが、運送費や原材料費、加工委託費などの上昇が進んでいることを受け、製品の値上げ検討も始めた。販売面では、新型コロナ禍で別注案件の苦戦が予想される中、新たな販路の開拓やグループ連携を生かした営業・販促活動の強化を図っていく方針。

〈ヤギコーポレーション 社長 八木 圭一朗 氏/昨年の反動需要取り込む〉

 今春夏商戦は、順調に推移している。昨年の新型コロナウイルスによる買い控えの反動が出ているとみており、売り上げの7~8割を占めるオフィスウエアについては徐々に回復傾向。

 制菌や抗ウイルスなど衛生意識の高まりとともにニーズが増えている機能加工技術も積極的に取り入れていく方針。

 メディカルウエアの独自ブランド「リゼルヴァ」は比較的規模の大きい病院で採用されるなど、認知の拡大とともに販売も伸びている。特に職種や勤務形態によってカラーを変えるスクラブは、働き方改革の一環として採用されるケースが目立ってきた。

 秋冬商戦は、コロナ禍で先が見えない部分があるとしながらも、ユニフォーム市況などを総合的に勘案して前年並みを予測する。

 海外生産は1992年に設立した中国の自社工場が順調に稼働しており、生産の半分程度を担う。製品の値上げについては現在検討中とする。

〈オサレカンパニー/女性警備員の制服刷新〉

 アイドルグループ、AKB48などの衣装を制作するオサレカンパニー(同千代田区)は、施設や駐車場、イベントなどの警備を手掛ける東宝総合警備保障(東京都渋谷区)の女性警備員制服のデザインと制作を昨秋に行った。女性特有のスタイリッシュさをアピールしたいとの依頼を受けて、ミニマルなデザイン性に機能性を掛け合わせた警備服に仕上げた。

 東宝総合警備は女性警備増員を目指す施策として女性警備チーム「TOHO SSレディース」を結成。その一環として制服を一新した。企業のブランドやマーケティング強化の流れで、イメージ向上や商業施設リニューアルの動きが進んでいる中、女性警備員の需要も増えるとみている。

 大型オフィスビルや商業施設、ホテル、美術館、コンサートホールなどでの業務で着用。