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帝人のインド/高機能繊維で市場開拓/拡大を見据え現法を新設

2021年07月19日 (月曜日)

 帝人グループは繊維大国インドの市場拡大を見据え、販売能力の強化に乗り出した。4月から新たな現地法人での営業を開始。高機能衣料繊維・環境・モビリティーの分野で事業の拡大を目指す。「日本品質の高機能な繊維製品でインドの変化に対応し、市場を開拓していく」と話す帝人フロンティア・インディアの内田俊一社長に戦略を聞いた。

 帝人グループの繊維・製品事業の中核会社である帝人フロンティアは、既存の現地法人である帝人インディアを通じ、分野を超えた業務に取り組んできた。今年2月に新たな現地法人、帝人フロンティア・インディアを設立。繊維分野を強化していく方針を鮮明にした。資本金は千万ルピー(約1500万円)。日本法人の帝人フロンティアが99%、帝人フロンティア・タイランドが1%を出資する。

 帝人フロンティア・インディアの社長に就任した内田氏は「帝人フロンティアは世界的に高機能衣料繊維が主力。インドでも現法の設立で独自性を出していきたい」と語った。

 帝人フロンティアは2010年から駐在員を派遣しインドでの市場調査を開始。駐在員事務所として機能してきた。新設した現地法人は北部ハリヤナ州グルガオンに事務所を構え、内田氏のほかインド人数名が勤務する。

〈高機能繊維のニーズ高まり〉

 現地法人の新設を決断した背景にはインド繊維市場の変化がある。内田氏は「中間層の増加により(衣料分野で)高機能な合成繊維が受け入れられる地盤が育った」と説明する。

 帝人フロンティアの事業割合は世界的に衣料繊維が6割、産業資材が4割を占める。インドの繊維は伝統的に綿が中心だ。一方、帝人フロンティアは合成繊維を主力としている。

 内田氏は「市場調査を開始した2010年頃、合成繊維はインド市場であまり受け入れられていなかった」と話す。帝人フロンティアの製品はポリエステル中心の合成繊維であるが、吸汗速乾性、高強度、劣化しにくい、蒸れないなどの多様な機能性を持つ。その分価格は安くない。

 インドは物価が安く、繊維業界も価格にシビアという特徴がある。価格の高い日本品質の高機能繊維も「この10年間で中間層が増えたことで、ニーズが出てきた。機が熟したと判断した」(内田氏)という。

〈産業資材事業が5割超に〉

 同社が設定する戦略分野のうち、インドでは高機能衣料繊維のほか、環境、モビリティーの分野に注力する。現地では大気汚染が深刻で環境対応のニーズが高まっているほか、自動車市場も大きい。

 より大きな排気量の二輪車や、性能の高さを求めるニーズが高まることで、高機能な帝人フロンティアの製品の需要が生まれる。助手席のエアバッグ搭載義務化など、安全性能の規制強化も追い風だ。内田氏は「インドでは産業資材が5割以上に育つ」とみている。

 環境分野では工場からの粉じんの排出を防ぐ「ナノフロントバグフィルター」など、水や空気汚れを除去するフィルターの販売を目指す。

 モビリティー分野では、タイヤやエンジン回りなどゴム資材の補強材、カーシートやエアバッグ用の生地や糸を展開していく考え。同社は合弁で自動車のシートの工場をハリヤナ州マネサールに持つ。

 帝人フロンティアを中核とする帝人の繊維・製品事業グループの21年3月期の売上高は3149億円。世界16カ国・地域に21拠点を構える。

 同社は繊維を中心とした製品の販売と輸出入を手掛ける商社だが、技術開発や生産といったメーカーとしての機能も持つ。内田氏によると、商社機能とメーカー機能を併せ持つ企業は珍しいと言う。開発・生産拠点は日本、タイ、中国に置く。

 インド事業では、インドへの輸入が多くなる見通し。現在の事業割合は小さいが、人口や経済の成長見通しから潜在性は大きい。内田氏は「市場を開拓していく熱意はある」と、時間をかけて市場を作っていく考えを示した。現時点で生産拠点を設置する計画はないが「(市場の潜在性を考えれば)将来的には可能性はある」とした。

 日系で企業間取引(B2B)事業を展開する特に素材関連の企業はまだインドで認知されていない。「まずは帝人フロンティアをインドで認知してもらいたい」と抱負を語った。[NNA]