繊維ニュース

特集 2021年夏季総合Ⅲ(6)/事例研究/検査機関の戦略/わが社の飛躍への萌芽

2021年07月28日 (水曜日)

〈カケン/マスクのJIS適合審査部門に〉

 6月16日、一般用マスクと医療用マスクの日本産業規格(JIS)が制定された。日本衛生材料工業連合会(日衛連)から審査を委託されているのがカケンテストセンター(カケン)だ。培ってきた技術と知識を駆使して、消費者や医療従事者が安心して使用できるマスクの流通を支える。

 今回のJISで飛沫(ひまつ)などの機能性項目と安心・衛生項目が定められた。微小粒子(PFE)、バクテリア飛沫(BFE)、ウイルス飛沫(VFE)、花粉のいずれか一つを95%以上捕集することが要件。一定の通気性なども求められる。基準を満たせば、不織布、布、ウレタンなど、材質や形状は問わない。

 カケンではこれらの試験について大阪事業所生物ラボと東京事業所バイオラボの2拠点で実施できる。4月に開設されたバイオラボは7月から花粉試験に応じられる体制を敷いている。試験能力はバイオラボ開設前の倍以上になり、“試験の安定供給”が可能になった。

 安心・衛生項目(遊離ホルムアルデヒドや特定アゾ色素など)の試験は他の機関でも応じられるが、VFEなどの捕集効率に関する試験については「カケンでしかできない」と言う。マスクの試験を開始して10年以上という実績も持っており、技術力や信頼も優位点と言える。

 日衛連は既にJIS適合審査の受け付けを開始しており、カケンでも審査をスタートしている(審査は東海事業所名古屋ラボ)。東京では布マスクを展開するアパレル企業なども多く、そのサポートにもつなげたいとした。

 マスクの試験によって消費者のカケンに対する認知度は大きく高まった。「マスク以外の分野でもカケンの名前を浸透させたい。カケンでの試験・検査が高品質の代名詞になれるよう努力する」と強調した。

〈QTEC/羽毛の衛生意識向上に対応〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の東日本事業所名古屋試験センターは、新型コロナウイルス禍が続く中、「羽毛原料に衛生性を求める声が確実に増えている」として、その積極対応を図る。清浄度試験などに加え、一般生菌数測定試験やほこり試験の訴求に力を入れる。

 同センターは、一般的な繊維の試験だけではなく、羽毛原料に関する試験、紳士服のウオッシャブル試験などを行っている。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているものの、回復基調に入っている。中でも6月から勢いが戻っているのが羽毛分析試験で、衛生や安心・安全のニーズ拡大が特に目立つ。

 その一つとして注目されているのが清浄度試験だ。以前は500ミリ以上という基準値が多く採用されていたが、清浄性の要求が高まり、1千ミリ以上を基準とする企業が増えている。同センターはそうした流れに応じると同時に、特注で作った透視度計を使って1500ミリ以上にも対応する。

 一般生菌数測定試験への引き合いも増えている。抗菌性試験が抗菌加工品の評価が中心であるのに対し、羽毛そのものにどれだけ菌が付着しているかを調べる。1㌘当たり2万5千CFU(コロニー形成単位)以下という参考基準値を、試験方法を開発した日本羽毛製品協同組合が設定している。

 ほこりに関する試験では、以前から粉じん計を使った方法でほこりの発生量を評価してきたが、国際羽毛協会(IDFB)はQTECの試験方法を原案とする試験方法を採用した。正式に発効されれば、この試験ができるのは国内ではQTECだけとなる。

 同センターは、新型コロナ収束後も消費者の衛生や安全・安心に対する意識は変わらないと捉え、これらの試験をアピールして需要を取り込む方針だ。

〈ニッセンケン/将来のための大事な1年に〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、2021年度(22年3月期)を、将来のための大事な1年に位置付けている。今年4月に立ち上げた「ライフ アンド ヘルス事業本部」で着実な成長を図っていくほか、海外拠点の高度化などを積極的に進める。海外では特にバングラデシュの強化に力を入れる。

 ニッセンケンの21年度は、新型コロナウイルス禍が続く中で、計画通りのスタートを切ることができたとしている。日本国内の試験業務や東南アジアは厳しい状況にあるものの、中国は昨年度からの堅調な流れを維持している。ライフ アンド ヘルス事業本部は想定通りの動きを見せていると言う。

 同事業本部は「エコテックス事業」「バイオケミカル事業」「香粧品分析事業」を統合して発足した組織。この三つの事業は持続可能な開発目標(SDGs)の実現に大きな貢献ができるとし、食品、住居、化学、医療をはじめとする新分野の業界・企業とのパートナーシップやアライアンスの構築を目指す。

 駒田展大理事長は、香粧品分析などについて「取り組みはまだ小さいが良い未来が見えている」と強調する。顧客との連携を深めながら、新たな試験方法などを作り上げていく方針で、「既に幾つかの事例も出てきている」としている。「エコテックス」も順調な推移を見せている。

 海外の拠点ではバングラデシュの強化に取り組む。現状では新型コロナ禍の影響が残っているが、日本のアパレル企業が生産場として重視しているためだ。当面は様子見としながらも、人員や設備の拡充を検討する。

 中国については多品種・小ロット・短納期が可能な生産地として重視されているとして継続的に強化する。