今ある在庫で稼ぐ (後)

2021年08月13日 (金曜日)

構造改革は“川中”へも

 大量生産、大量廃棄を前提としたアパレル産業への批判、持続可能な環境に貢献することの必要性、そして長引く新型コロナウイルス禍に消費の減少……。こうした時代の要請や事業環境の激変に合わせてアパレル小売りのビジネスモデルは着実に変わりつつある。

 できる限り売れるものに絞って作り、無駄なく売る――。従来、主流とされてきた豊富な在庫を背景にセールを繰り返して利益率を落としてでも売りさばくスタイルから多くのアパレルが脱却しようとしている。こうした変革への動きが前編で紹介した在庫分析システムを提供するフルカイテン(大阪市福島区)の躍進を支える。

 同社のシステムを今年、パルグループホールディングスやオンワード樫山、レディースブランド「ZUCCa」で知られるエイ・ネット、ジャパンブルーが導入した。近年では、アシックスジャパン、東京シャツ、カイタックインターナショナル、「アンダーアーマー」のドームといった中堅アパレルでも実績を重ねている。

 導入企業の共通の狙いは今ある在庫の中から売れるものをシステムの分析で割り出し、できるだけ正価で売り、割り引きによる利益の減少を避けながら在庫を効率的に消化することだ。いかに手持ちの在庫で業績を最大化させるか。今後、長期的に縮小する国内市場の中で避けられない課題となる。

 今ある在庫で勝負しようとする動きは静かに繊維商社や生地コンバーターにも広がろうとしている。これまで小売業向けを中心に導入実績を増やしてきたフルカイテンだが、今年からこうした“川中”企業のニーズに合った、在庫適正化と業績アップを両立させるシステムの実証試験を行っている。来年にも新たなビジネスとして本格稼働を計画する。

 最終的には川中企業で得られたデータを“川下”である小売りにも提供することで、繊維産業のサプライチェーン全体の在庫の最適化を構想する。

 (おわり)