東洋紡「ブレスエアー」/年産2200トンに増強/新たに防ダニタイプを開発

2021年08月17日 (火曜日)

 東洋紡が展開する3次元スプリング構造体「ブレスエアー」の販売が好調に推移している。2018年9月の火災事故で生産設備が焼失したが、昨年秋に年産1100トンの新設備で量産を開始。今年8月には年産1100トンの第2系列を稼働させており、「2~3年でフル操業に引き上げる」(黒木忠雄機能素材事業総括部長)との意欲を示している。

 ブレスエアーは熱可塑性ポリエステルエラストマー「ペルプレン」を絡ませたクッション材。通気性、クッション性、透水性、耐久性(=へたりにくい)に優れていることが特徴。簡単に洗えて、すぐに乾くため、清潔な状態をキープすることができる。

 新型コロナウイルス禍に伴う巣ごもり需要の増大によって昨年来、販売量が急増。マットレスなどで通販やホームセンター向けの販売が伸びており、2系列目の導入を昨年決め、今年8月から量産をスタートさせた。

 介護施設や病院などへの販路開拓にも取り組んでいる。水洗いができてすぐに乾く性能をPRするため、マレーシアの医療機関で実地テストを進めており、マレーシアやシンガポールでの販促を強化し海外市場での拡販を目指す。

 JR東海が運行する新幹線の最新鋭車両・N700Sの座席にはブレスエアーが採用されており、最近は大阪メトロなど民間の鉄道会社からも問い合わせや引き合いが相次いでいるという。

 第2系列を導入したことで商品開発の余裕が生まれたため、この間、新素材の開発を急ぎ、このほど防ダニタイプを開発。インテリアファブリックス性能評価協議会から防ダニ加工の認定を取得しており、今秋から投入し主力のマットレス用途で新規販路を掘り起こす。

 欧米への輸出、カーシート材、オートバイのシート材などへの参入を目指した商品開発にも力を入れており、これらでのスペックインを通じ第2系列の早期フル稼動を狙う。