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特集 スクールスポーツウエア(3)/スクールスポーツ事業 各社取り組み/22春へ商機捉える施策を/菅公学生服/明石SUC/ギャレックス/トンボ/瀧本/ユニチカメイト/ミズノ/オゴー産業

2021年08月20日 (金曜日)

〈「プレミアム」4年の販促奏功/スポーツは5期連続増収/菅公学生服〉

 菅公学生服は今入学商戦、販売開始から4年目となる自社ブランド「カンコープレミアム」で前年の採用校数に近い実績を積み上げた。防風などの機能性や、シャツと合わせての一貫した提案が奏功。スクールスポーツの2021年7月期は5期連続の増収となりそうだ。

 カンコープレミアムは大手素材メーカーと開発した生地「グランガード」の防風性や、コンパクトに収納できる軽量性などが引き続き評価される。今春は、熱と圧力で立体的な柄を施すエンボス加工を採用。昨秋から「リーボック」ブランドでも展開する加工で、デザインの差別化を強める。

 レオパード(ヒョウ)柄でありながら生地や柄で同系色の陰影にこだわり、これまでのシンプル路線は維持している。

 カンコープレミアムのシリーズとして、防透性に加え軽量性も高めたシャツ「ミエンヌエアー」を追加。高い紫外線遮蔽(しゃへい)率のほか、「セットアップコーデの提案が採用拡大に貢献」(営業本部企画推進部スポーツ商品企画課の佐藤範和課長)した。

 防透性に優れるシャツ「ミエンヌ」自体が昨秋、20年度グッドデザイン・ベスト100を受賞したことも認知度向上につながった。

 カンコーブランドのもう一つの柱として18年に発表した「カンコーノームコア」も、スタイル、素材、マークの3ステップの選択かつ、シンプル性が評価され、順調に採用を得ている。

 来入学商戦に向けても自社ブランドの販促、商品開発の強化を進める。

〈「デサント」など順調に拡大/上半期は増収確保/明石SUC〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(SUC)は今入学商戦、スポーツの上半期(1~6月)で前年同期比増収を確保した。「デサント」ブランドや、昨春から販売を本格化させた自社ブランド「アスリッシュ」の採用が拡大し、新型コロナウイルス禍で昨年から遅れて計上した分を除いても販売が増加。水泳の授業を実施する地域が昨年より増え、水着の受注回復も貢献した。

 デサントでは100校の新規採用を獲得し、累計採用校数が2千校を突破。ストレッチ性や軽量性などに優れた生地「デサントハイブリッド」の訴求も拡販に寄与した。

 アスリッシュは、「アスレチック」「スタイリッシュ」を組み合わせた今までにないテイストなどが評価され、他校との差別化が図れる斬新なブランドとして私学マンモス校の採用を獲得した。

 接触冷感素材使いなど熱中症対策関連の商品、抗菌消臭などの機能を持つハイブリッド触媒「ティオティオプレミアム」加工の体育着などでも引き合いが増えている。

 来春に向けても両ブランドの販促を強化。デサントブランドのマークは、学販向けということもあって、一般店頭向けなどで使用する「スピリットマーク」とは異なる「フィールドマーク」を採用してきたが、デサントとの調整を経て4月発売のモデルからスピリットマークに変更する。

 また、昨年発表したデサントハイブリット生地使いのウエアはデザインの異なるグレードに合わせた3型を投入。

 認知度の向上や機能面の訴求に努め、デサントとアスリッシュで150校の新規採用を視野に入れる。

〈ストレッチや機能性訴求/前期は10%強の増収に/ギャレックス〉

 ギャレックス(福井県越前市)は2022年入学商戦向けに同社として初めてポリウレタン混商品を投入するほか、消臭や抗菌、防風といった機能性を備えた新商品を打ち出す。

 前期(21年6月期)業績でスクール分野の売上高は、生徒数減の影響があったものの、前期比10%強の増収となった。休校などがあった昨年4~6月分の需要がずれて7月以降の前期に入ってきた。さらに、新型コロナウイルスが流行する中で、洗濯が容易な体操服通学を導入する学校もあり、買い足しや複数枚の購入などにつながったという。

 21年春の入学商戦では、新型コロナの影響で、商談の遅れやモデルチェンジ延期などが懸念されたものの、新規で20年春に近い200校弱を獲得した。

 今期は前期以上の売上高を目指し、新規では300校超の獲得を見込む。22年春の入学商戦に向けては「フィラ」では、ポリウレタン混の生地を採用したシリーズを発売する。翼・聖火をイメージしたジャケット、パンツ、ハーフパンツなどをそろえる。さらに、異なる3色の配色をクールに仕上げたスタイリッシュなニューモデルも投入する。

 「ギャレックス」では消臭機能のあるポリウレタン弾性繊維を使うことに加え、防風機能も付与した新商品を打ち出す。汗の臭いの主成分であるアンモニアに対し、消臭性能を発揮する。さらに、高い評価を得ている保温・軽量ストレッチ素材「ゼブラ・ゼロ」使い商品では、動きやすいパターン設計を採用した新スタイルをそろえた。

 オリジナルの抗菌防臭素材「エンジェロンシルバー」を使ったシャツも発売する。銀イオン練り込み糸が菌の増殖を防止し、洗濯後の部屋干し時に発生する生乾き臭を防ぐ。さらに防透機能も持つ。既に提案、紹介を進めており「高い評価を得ている」と言う。

〈昇華転写中心に採用増加/部活着の拡大も販売に寄与/トンボ〉

 トンボは今入学商戦、スポーツで260校超の新規採用を獲得し、同部門の2021年6月期は前期比9・6%の増収を見込む(前期56億円)。新型コロナウイルス禍で制服より洗いやすい体育着の通学が許可され需要が増えたことに加え、昇華転写プリントを中心にサッカーやバレー、マーチングなど部活着の拡大も販売に寄与した。

 新規260校のうち自社ブランド「ビクトリー」を中心に採用を獲得し、「ヨネックス」ブランドの採用も順調に増えた。

 昇華転写プリントを施した商品は新規の7割に達し、順調に採用が進んだ。一般のスポーツ市場でも同加工の商品が普及する中、学販においてもデザイン性や独自性が評価される。

 昇華転写との組み合わせで売れ筋のウオームアップウエア「ピストレ」は、認知度の向上で採用が増え、今春の採用の3割を占めた。

 同商品に使用する独自の軽量ポリエステルニット「ピステックス」では、素材メーカーと開発を強化。撥水(はっすい)、裏起毛、制電、寒冷地向け肉厚起毛のほか、19年には軽量性と吸汗速乾性能を高めたピステックス・ドライを加え5種類で訴求してきた。

 今後、SDGs(持続可能な開発目標)や新型コロナ対策も視野に、「環境配慮や抗ウイルス関連など付加価値を高めた開発を強化」(スポーツMD本部)する。

 来入学商戦に向けた販売も増加傾向を予想する。3ラインを備えるトンボ倉吉工房スポーツ館(鳥取県倉吉市)で、1年延期していた1ラインの増設を今期中にも実施。昇華転写プリントは、設備の稼働率向上で需要の増加に対応できるとみている。

〈昇華転写を初投入/機能へのこだわり随所に/瀧本〉

 瀧本(大阪府東大阪市)は22年入学商戦を「昇華元年」と位置付け、同社では初となる昇華プリントを施したスクールスポーツウエアを自社ブランド「タイガースポーツ」で投入する。防透け、消臭など機能性にこだわったウエアも拡充する。

 同業界でデザイン性を重視する流れが強まっていることに対応した。昇華プリントは国内2工場への外注で施す。ただし、ユーザーからのコスト要求は根強いため、ウエア全般にプリントを施すのではなく一部にするなどでコストを抑えた。「値頃感もあり、22年、23年入学での大量販売に期待」する。

 22年入学向け同ブランドでは、防透け・抗菌・UVカット機能を持つクラレトレーディングの「スペースマスターAG」や、消臭・高吸湿機能を持つ東洋紡STCの「ウエアコン」などの生地を採用し、機能性にこだわった。それぞれ「ノンスケ」「ノンニオ」をキャッチコピーに訴求する。

 防風素材を使いながらもシャカシャカ音を軽減した秋冬向けウエアを「ノンシャカ」としており、「ノンにこだわった3つのシリーズで商品開発を続けていく」考えだ。

 ライセンスブランドの「ロット」は前シーズンに引き続き杢(もく)グレーの生地を採用し、デザイン性を高めた。軽くて柔らかな風合いも特徴。

 同社は21年入学商戦を「スポーツ元年」と位置付け、スクールスポーツ事業の拡大に向けて商品開発と提案に改めて力を入れた。「まだ数字にはあまり表れていない」ものの、「開発意欲や商品の魅力は伝わったはず」。この流れを来入学に生かし、採用校拡大につなげる。

 このほど販売店を対象とした内覧会を開催したが、新型コロナウイルス感染拡大対策として全て事前予約制とした。9月からは学校向けの展示会開催を予定するが、「国内の感染状況を見定めながら最適な展示会形態を考えていく」。

〈デジタル採寸を活用/ウエア以外の商材も展開/ユニチカメイト〉

 ユニチカメイト(大阪市中央区)は今期(2022年3月期)、デジタル採寸の活用、ウエア以外の新規商材の展開、ライセンスブランド「プーマ」の新商品の提案に取り組む。

 同社の前期(21年3月期)業績は、減収減益となった。休校などがあった4~6月が落ち込んだほか、水泳の授業がなかったことによる水着販売の減少も響いた。サービスユニフォームのOEM事業も市場環境が厳しかった。後半で盛り返したほか、防護服関連の需要があったもののカバーし切れなかった。

 プーマは21年春の入学商戦で累計採用校数が170を超えた。当初200を目標としていたものの、新型コロナウイルスの流行により、モデルチェンジの延期などの影響がでた。

 今期は増収増益を目指す。4~6月は新型コロナ禍前の前々期(20年3月期)並みでスタートを切った。しかし、運動会などのイベントや水泳授業などの需要も新型コロナ禍前には戻っていないため、通期で新型コロナ禍前の業績まで戻せるかは不透明だ。

 22年入学生に向けては、自動採寸のシステムを導入する。併せて自社ホームページを刷新しデジタル採寸と連携するほか、定番商品や注力商品を掲載するデジタルカタログも整備し、発信を強める。

 さらにスクールスポーツウエアだけでなく、体育館シューズやバッグにも商品の幅を広げる。体育館シューズの取り扱いは初めてだが、備蓄して対応していく。

 プーマの累計採用校数は22年春で、200を超える見込み。新商品として、上下物3型、半袖シャツ、長袖シャツを提案する。防風や防汚、吸汗速乾などの機能を盛り込んだ。

 自社ブランド「ユームーブ」では新商品として3型を打ち出す。「スクールワーキングスポーツウエア」をテーマにデザインをカジュアル寄りにし、着用シーンが広がるアイテムをそろえた。

〈CSRにも配慮/ミズノ〉

 ミズノの2020年度学服事業は新型コロナウイルス感染拡大の影響で採寸の時期が遅れた事例が発生したものの混乱には至らず、採用実績を伸ばすことができた。

 需要やニーズの変化に柔軟に対応できる体制を整備しつつ21年度も前年増を計画しており、「スポーツのノウハウを生かすことで他社との差別化を明確に図れる」との手応えを示している。

 スクールスポーツのトレンドとしては、昇華柄やスリムなシルエットを求めるニーズが継続するとみており、防汚加工を施した白をベースに使うケースが増えるともみている。

 スクールスポーツ分野でもサステイナブルへのニーズが強まっており、製造工程が適切かどうか、持続可能性に配慮されているかどうかなどについて顧客の関心が高まっている。

 このため、CSRの一環として工場の人権、労働慣行、環境保全が適切かといったことを自社や外部に委託してCSR調達監査を実施している。品質はもちろん、人権、安全・衛生などを含めて「良いモノ作りができるよう努めていく」との方針を掲げる。

〈寒暖差調節など機能を訴求/オゴー産業〉

 学生服製造卸のオゴー産業(岡山県倉敷市)は、自社ブランド「スポーレッシュ」を中心に、寒暖差を調節できる体育着など機能面の販促を強めている。

 来入学商戦に向けては素材メーカーと協力し、秋冬向けにニットながら防風性を高めた生地を提案。衣服内の熱が逃げにくく、高い保温効果も訴求する。春夏向けには、水分率の高い特殊ポリエステル使いで、体温による気化熱で肌の温度を下げる生地などをアピールする。

 併せて、3年間の着用を想定し耐久性の向上など安全性も考慮。改めて「スクールスポーツ商品の定義を崩すことなく取り組む」(片山一昌取締役)考えだ。

 その他、昨年発表した、重ね着で季節や目的に合わせた着こなしができる「レイヤードスタイル」も拡販。春夏は柄の入った半袖を、秋冬は無地の長袖と組み合わせて着用。長袖は柄がないためにコストを削減でき、従来品より価格を抑えることができる点も訴求する。

 スポーツの上半期(1~6月)販売は前年同期比横ばいだった。新型コロナウイルス禍で店頭販売に影響を受けたものの、東京都での新規校獲得などが貢献した。