東洋紡 PPS繊維「プロコン」/来年4月から中国に生産委託/異形・細繊度に重点化

2021年08月23日 (月曜日)

 東洋紡はPPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維の生産を中国企業に委託する準備を急いでおり、来年4月から量産に着手する。岩国事業所での生産は停止する。

 同社はPPS繊維「プロコン」を主に中国へ展開。火力発電所で使われるバグフィルター向けに販売してきたが、中国勢との価格競争や新型コロナウイルス禍で2020年度は苦戦を強いられていた。

 このため、収益構造を転換するために中国の浙江新和成股フンから原料を調達し、紹興裕辰新材料(YC)で原綿を生産する契約を交わしていた。

 21年4月から原綿のOEM供給を受ける計画だったが、新型コロナ禍で技術指導のための人員を現地に派遣することができなくなり、大幅に遅れていた。今年の夏から現地に人員を送り込めるようになっており、年内に技術指導を終え、年明けの試験生産を経て4月からの量産を目指している。

 プロコンの営業員を東洋紡上海に異動させつつあり、22年4月からは数人体制で主に交換需要のフォローに取り組んでいく。中国生産が始まるタイミングで岩国事業におけるプロコンの生産を停止する。

 中国市場では中国勢と韓国勢との競合が激化している。東洋紡は価格競争に巻き込まれにくい異形断面タイプや細繊度タイプによる商品開発・販売に特化しプロコン事業の収益改善に取り組む。