クラボウ/パートナーと取り組み拡大/JSFAにも積極的に参画

2021年08月24日 (火曜日)

 クラボウの繊維事業部は取引先や連携先などパートナー企業との取り組み型ビジネスの拡大で業績改善を進める。繊維事業部長を務める北畠篤取締役兼常務執行役員は「今上半期(2021年4~9月)も具体的成果が上がり始めた。新型コロナウイルス禍で繊維産業全体が打撃を受けているからこそ、取り組み先とともに収益改善の道を進みたい」と話す。

 同社繊維事業の21年度第1四半期(4~6月)業績は依然として営業損失となったものの、損失額は前年同期から減少するなど改善の兆しが見える。原糸は海外向けで受注が回復基調。ユニフォーム地も流通在庫の正常化が徐々に進んだことで販売は堅調だった。苦戦するカジュアルも新規取引の開拓が進んだ。

 引き続き早期の黒字浮上を目指す。「当社の役割が明確になったビジネスの拡大に力を入れ、取り組み先とともに収益改善を進める」と話す。その一例が縫製工程で発生する裁断くずを紡績原料として再利用する「ループラス」。エドウインのほか、ジーンズアパレルのITONAMI(岡山県倉敷市)、衣服生産プラットフォーム事業を手掛けるシタテル(熊本市)との取り組みが進み、ファッションブランドでも採用が進む。

 新型コロナウイルス禍が長期化する中、衛生機能素材への需要が一段と高まる。このため抗菌・抗ウイルス機能繊維加工技術「クレンゼ」を「長期的なブランドとして育てる」。新型コロナウイルスのアルファ株やデルタ株など変異株に対する抗ウイルス性も確認した。

 伊藤忠商事との戦略的パートナーシップによる取り組みも具体化する。伊藤忠が供給するサステイナブル原料を活用した商品開発が進む。秋には共同で展示会開催も検討する。

 繊維業界全体でサステイナブルな社会の実現を目指す組織「アパレルサステナブルコンソーシアム」の設立準備を進めていたが、このほど環境省も協力して繊維産業を持続可能な産業へと移行させること目指すジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)が設立された。クラボウと伊藤忠商事はともに設立メンバーとして参加した。このため独自のコンソーシアム設立を取り止め、今後はJSFAの活動に積極的に参画することで、より業界全体で取り組むことを目指す。