台湾企業/ベトナム工場の停止続く/長期化で業績への影響に懸念

2021年09月02日 (木曜日)

 衣料品や靴などを生産する台湾企業のベトナム工場で操業停止が続いている。現地で新型コロナウイルス感染症が急拡大しているためで、7月中旬以降、操業停止延長の発表を繰り返している。ベトナムから他国の工場に生産を振り替える動きも出ているが、対応が困難な企業もあり、操業停止期間が長期化することで業績への影響が懸念されている。

 ベトナム保健省によると、新型コロナウイルスの市中感染者数は8月23日夕時点で前日から1万383人増え、5日連続で1万人を上回った。各地が厳格な社会隔離措置を実施しているが、感染力の強い変異株「デルタ株」の流行に歯止めがかからない。感染状況が最も深刻なホーチミン市は同23日から外出・移動制限をいっそう強化している。

 アディダスやアシックスなどを顧客に持つ製靴受託世界大手の宝成工業は同22日、子会社が構えるホーチミン市の工場について操業停止期間を同31日まで延長すると発表した。

 発表では、ホーチミン工場は7月中旬から操業停止が続く。既に1カ月余りたっており、工商時報によると、出荷する製品は残っていない状況だという。

 同社の何明坤執行協理は、ベトナムで予定していた新規受注分の生産について、インドネシアなど東南アジアの別の工場に振り替えて対応していると説明した。ただ、既にベトナムで量産している製品を一時的に他工場に生産移管するのは難しいという。

 同社全体の生産能力のうちベトナムは45%を占め、最大の生産拠点となっている。

 同業大手の豊泰企業もベトナム国内の5工場の操業を同29日まで停止している。広報担当者は、生産済みの製品については顧客の指定期日に出荷が可能だと説明した。インドネシアやインド、中国の工場はフル操業が続いており、ベトナム工場から生産を振り替えることが難しいという。

 同業大手の志強国際もベトナムに構える5工場の操業を同31日まで停止している。

 証券筋は各社が操業再開後、停止期間の影響を軽減するため、残業をするなどして対応すると予測している。ただ、再び停止期間が延長されれば、通年の売上高の5%以上に影響が出る可能性があるとした。

〈他拠点では残業〉

 衣料品を生産する会社も状況は厳しい。ダウンジャケットの光隆実業は8月25日までベトナム工場を停止している。同社は操業停止がさらに延長されれば、第3四半期(7~9月)の成長目標を達成する上での不確定要素となるとした。その上で、第4四半期(10~12月)に経営を正常軌道に戻したいと説明した。

 繊維大手の台南紡織(タイナンスピニング)は足元でベトナム工場の生産能力を従来の3~4割に引き下げた。感染状況が厳しさを増す中で従業員の意欲にも影響が出ていると言い、生産への影響は9~10月まで続くと予測した。

 アパレル受託製造大手、儒鴻企業(エクラット)はベトナムの5工場が全てホーチミン市の外にあり、外出・移動制限による影響は比較的小さいとみている。第3四半期の売上高は第2四半期(4~6月)の水準を維持したいとした。

 聚陽実業(マカロット・インダストリアル)は中国浙江省嘉興市やカンボジア、インドネシア、フィリピン、アフリカなどの工場で残業を行い、ベトナム工場の停止をカバーしている。

〈金融機関は手数料収入減〉

 工場操業停止でベトナムに進出する台湾の金融機関にも影響が出ている。兆豊国際商業銀行(メガ・バンク、兆豊銀)は顧客企業が操業を停止しているため、ホーチミン支店では貿易や送金、両替に関する業務が減り、手数料収入も減少したという。

[NNA]