明日へ 縫製編 (26) サイト

2021年09月10日 (金曜日)

 宮崎県西都市に本社を置くサイトは、紳士既製服縫製で創業し、オーダースーツ、ワークウエアの縫製へ事業領域を広げた。新型コロナウイルス禍でブレーキがかかったが、さらなる事業拡大が可能だとみて、宮崎工場とカンボジアの独資工場で増員を図る計画だ。

 中村成彦社長(46)の父が1969年に大阪で創業した。紳士服量販大手などの縫製を請け、従業員はピーク時に70~80人に達する。縫製拠点の中国移転の流れにも対応し、従業員80~100人規模の縫製工場を1990年に独資で中国に設けた。

 ところが、2008年のリーマンショックを境に業績が悪化し始める。00年に入社した中村氏が社長に就任した12年には、売上高がピーク時の4分の1になっていた。

 この逆境の中で中村社長は、オーダースーツ縫製事業を一から立ち上げることにする。宮崎県の縫製工場(現在の本社)を買収し、ここを縫製拠点として事業をスタートした。対等な関係で取引できるよう、1社当たり3店以下のテーラーに敢えて限定して受託先を開拓。6年前から、テーラー開業希望者を募り、「サイトスクール」と称して、採寸の仕方やスーツの作り方など必要な知識を教えることにも取り組んだ。

 結果、事業開始当時は10社にすぎなかったオーダースーツの顧客が、現在は400社に達している。このうち100社は、サイトスクールの卒業生で、その半分は昨年秋以降に卒業した。新型コロナ禍の中で、業態転換してオーダースーツ販売店になろうとする異業種が増えた。

 中村社長は、オーダースーツ縫製事業はさらに拡大するとみて、現在150~160人の宮崎工場の従業員を60人増やす方針だ。工場内の労働環境を良くするための投資も行っている。

 業績を安定させるために、カンボジアに独資工場を15年に設立し、ここを拠点としてワークウエアの縫製にも乗り出した。この事業も順調で、従業員は当初の100人から350人に増えた。さらに80人増やし、現在の5ラインを7~8ラインにする計画だ。

 祖業である紳士既製服縫製については、中国の独資工場を15年に解散し、同国などの協力工場を使う形に切り替えた。ただ、この事業については縮小する方向だ。

 21年3月期売上高は25億円で、オーダースーツとワークウエアがそれぞれ40%を、紳士既製服が20%を稼ぎ出す形となっている。

(毎週金曜日に掲載)

社名:株式会社サイト

本社:宮崎県西都市大字鹿野田2662

代表者:中村 成彦

主要生産品目:オーダースーツ(織物製)、ワークウエア(織物製)

従業員:日本200人(宮崎160人、大阪40人)、カンボジア350人