明日へ 縫製編 (27)  アシダニット

2021年09月17日 (金曜日)

社会貢献で企業価値向上

 アシダニット(東京都墨田区)は、SDGs(持続可能な開発目標)に積極的に取り組んでいる縫製会社だ。学生を支援するための企画を展開しているほか、再生可能エネルギーによる電力への切り替えも進めた。芦田博彰社長(51)は「社会貢献によって企業価値や工場のブランド力を高める」と強調する。

 会社設立は1970年で、東京都墨田区周辺の縫製会社・工場としては比較的後発と言える。ただし創業者である芦田光剛氏(芦田社長の父)の父・栄次郎氏が32年に立ち上げた「芦田莫大小縫製所」にまでさかのぼれば、その歴史は約90年を数える。

 子供服を扱う企業として始動したアシダニットは、72年に千葉県内に自家縫製工場を持つ。事業は着実に拡大していくが、芦田社長が16歳の時に光剛氏が死去する。以降は芦田社長の母である和代さんが社長を務め(現在は会長)、事業を継続する。営業担当者の奮闘も会社を支えた。

 「工場に遊びに行くと若社長と呼ばれていたので会社を継ぐという意識は子供のころからあった」と話す芦田社長。大学卒業後はアパレル企業に就職するが、「修行という位置付け。生産ではなく、売る経験をしたかった」と語る。約3年間の修行を経て、97年にアシダニットへ入社する。

 バブル経済崩壊後であり、順調な時期ではなく、売上高も落ちていた。経営も丼勘定だった。「見積もりを取ってから生地を仕入れ、縫製、納入しているはずなのに、決算で締めないと利益が出ているか分からないのが当たり前。利益がない時もあった」。その改善から取り組んだ。

 その一つが、立ちミシン方式であるトヨタソーイングシステムの導入。ライン投入からの1日の仕上がり計算が容易になり、「製品を何枚生産したか」や「加工料金は適正なのか」などが明確になった。最盛期と比べて売り上げ規模は縮小したものの、利益体質は構築できたとしている。

 今後は、学生の支援や環境負荷低減など、縫製会社としてできる範囲でSDGsに取り組む。学生支援企画「クリエーターズ コレクション(仮)」は、学生のデザインをプリントしたTシャツを販売して売り上げの10%をその学生に還元する。昨年に続く第2弾をクラウドファンディング「キャンプファイヤー」で展開中。

 環境負荷低減では電力会社を変更。本社と大原工場(千葉県いすみ市)、新井工場(新潟県妙高市)で、太陽光や風力などの再生エネルギーによって作られた電力に切り替える。環境に配慮した電気を使った工場でオーガニックコットンを使った生地の縫製を行うことなども検討している。

(毎週金曜日に掲載)

社名:株式会社アシダニット

本社:東京都墨田区緑3丁目20番4号

代表者:芦田 博彰

主要生産品目:子供服など(丸編み地製)

従業員:本社5人、大原工場30 人、新潟工場10人