帝人フロンティア・インディア/調達ソース変化に商機/新型コロナ急拡大は収束

2021年09月21日 (火曜日)

 帝人フロンティアのインド法人、帝人フロンティア・インディア(ハリヤーナ州グルグラム)は高機能衣料繊維・環境・モビリティー分野を中心にインド市場の開拓に取り組んでいる。営業開始早々に新型コロナウイルス感染急拡大など想定外の事態にも直面したが、現在は活動も再開した。

 同社は今年2月に設立。繊維、衣料製品、産業資材の販売と輸出入取引を担う。4月から営業を開始していたがインドでは4月下旬から新型コロナ感染が急拡大し、再度のロックダウン(都市封鎖)に見舞われた。「ほとんどの経済活動が停止され、経済の回復基調に水が差された状況になった」(内田俊一社長)。

 それでも6月には感染拡大も収束し、経済活動も再開された。同社も日本や中国、タイなどからの調達が急増している。ただ、インド向けの船便がタイトな状況が続いており、船賃の高騰と出荷遅延の発生が課題となっている。

 同社では引き続き営業活動の新規立ち上げに向けて知名度の向上と販路開拓に取り組む。現在、インドと中国の関係が悪化していることから、インド企業が原材料の調達先を中国以外に変更する動きが出ている。「帝人フロンティアグループの生産拠点がタイを中心にASEAN地域にあるため、マーケットに向けて紹介を実施」するなど調達ソース変化を商機にすることを目指す。

 インドの2020年のGDP成長率はマイナス7・3%となり、新型コロナ禍の打撃を大きく受けた。国際通貨基金(IMF)によると21年の成長率は当初、プラス12・5%と予想されていたが、新型コロナ再拡大の影響でプラス9・5%に下方修正されるなど依然として予断を許さない状況にある。

 ただ、主力の自動車産業は急回復しており「今後も堅調に推移すると思われる」。インド経済の拡大を生かして業容拡大を進めることが引き続き同社のミッションとなる。