繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅰ(6)/わが社のアジア戦略/蝶理/双日/クラボウインターナショナル/鴻池運輸国際物流関西支店

2021年09月21日 (火曜日)

〈蝶理/ASEAN生産を高度化〉

 蝶理の現中期経営計画で繊維本部が掲げるテーマは「グローバル・ワンストップ・オペレーション・バイ・チョウリ」。グローバルに川上から川下まで展開する繊維事業の総合力を結集させる。重点施策としてグローバル・サプライチェーン・マネジメントの拡充を図る。競争力のあるグローバルメーカーと連携し、製造・調達・加工・縫製基盤の高度化を目指す。

 ASEAN地域では着実に目標とする形のサプライチェーンを築いてきた。原料・素材を現地調達し、製品などの販路も確保した〝地産地消〟を実践している。

 6月にスミテックス・インターナショナルを子会社化したことで、ASEANでの生産強化が加速しそうだ。同社はいち早くベトナムに縫製の拠点を設け、素材から製品化まで一貫して手掛ける生産体制を構築。量産から小ロットまで幅広いニーズに対応できる強みを生かし、OEM/ODMで優位性を発揮してきた。

 ベトナムの優れた縫製拠点が蝶理グループに加わった意義は大きく、「高度なサプライチェーンの構築」という目標に近付く。高品質でありながらコスト要求にも応える供給体制がASEANで確立できれば、繊維事業の可能性も大きく広がる。

〈双日/メーカー視点の提案で新規開拓〉

 双日の繊維事業は4月の組織変更で、一部の大口顧客とのビジネス以外のOEMについては、グループ事業会社の第一紡績に移管した。同社が持つ紡績・染色技術を駆使した素材軸での商品提案に、双日の商社ならではの営業力を融合させた提案が功を奏し、新規顧客の開拓が進んでいる。

 その一方で、長引く新型コロナウイルス禍の影響により、アジアの生産現場は事業を取り巻く環境の変化への対応に追われている。東南アジアからの素材調達が困難になっているため、一時的な中国シフトが進み、中国の縫製工場は総じて高稼働が続いている。双日の中国グループ会社も同様の状況にあるという。

 ただし、中国が生産の中心であることは変わらないとしながらも、アフターコロナを見据え、ASEANでの調達網の開拓は継続する方針だ。

 新商材の提案にも力を注ぐ。サステイナビリティー対応へのニーズに応えるため、生分解性ポリエステル繊維のブランド「Primaloft Bio」(プリマロフト・バイオ)の販売を始めた。

 新規事業については、繊維やそれ以外の消費財の取り扱いを柱にして、顧客と共に海外で店舗展開していくことも視野に入れている。

〈クラボウインターナショナル/新たな調達管理システム作る〉

 クラボウインターナショナルは、日本、中国、インドネシア、ベトナム、バングラデシュを軸に縫製品サプライチェーンを構築している。新型コロナウイルス禍で工場の操業停止や出張の制限などが顕在化する中、「その都度適切な生産拠点を開拓することが重要になる」(西澤厚彦社長)とし、各国を有機的につなぎ合わせるような新たな調達管理システムの構築に臨む。

 中国は小ロット、短納期にメリットがあるとし、これまで以上に素材から製品までの一貫調達を進める。東南アジアで感染爆発が起きているため中国への回帰も必要だとする。インドネシアは長年培ってきたノウハウを生かした品質・納期管理に秀でる。

 ベトナムは多彩なアイテムが調達可能になり、素材の現地調達も進展。納期、価格のバランスに優れる。バングラデシュは価格訴求型商品への対応として重要な拠点と位置付ける。重衣料ではミャンマーも活用する。

 生産、調達だけでなく販売も拡大させる。中国で先行事例がある。この経験を他のアジア各国や欧米向けにも応用する。

 環境配慮型商品の投入などSDGs(持続可能な開発目標)対応も生産、販売の両面で推進する。

〈鴻池運輸国際物流関西支店/都市封鎖のリスク軽減へ〉

 鴻池運輸は、アジア各国で異なる新型コロナウイルスの感染状況を把握し、輸送リスクを軽減させている。ロックダウン(都市封鎖)が長引き、港湾作業員の確保が難しいケースも浮上。しかし、シンガポールやミャンマー、香港、バングラデシュなどの海外法人を介した物流網を生かし、遅延を防いでいる。

 バングラデシュから香港までを航空輸送し、香港から海上輸送する形もスタートした。空輸と海上輸送を組み合わせ、アジア発の新しい物流ルートを開拓している。同社の宮田晃宏国際物流関西支店営業部課長は「海外法人の人材育成が実り、(新型コロナ禍でも)能動的に動くことができている」と話す。

 世界規模で続くコンテナ不足と燃料費の高騰については「今後も高止まりする」と読む。アジア発の北米向け貨物は今夏も増加傾向で、家具や家電といった荷物が増えている。アフターコロナを見越した商材も増加し、今後も輸送はタイトになりそうだ。

 貿易業務の可視化するため、デジタル技術で企業を変革するDXを強化した。貿易管理ツールとして、シタテル(熊本市)が提供する作業フローをデジタルで支援する「シタテルクラウド」を実装した。