産資・不織布 通信 ( 81)

2021年09月27日 (月曜日)

次代の主力用途開拓へ

 フェルト・不織布総合メーカーであるフジコー(兵庫県伊丹市)は、2021年9月にニッケの完全子会社となり、新たなスタートを切った。幅広い用途のフェルト・不織布を製造販売する強みを生かし、ニッケグループとも連携しながら新たな主力用途の開拓で海外販売の拡大を目指す。

 フジコーは、内装材など自動車資材、OA機器向けなど情報通信資材、フィルターなど環境資材、電極材などエネルギー資材など幅広い分野に向けてフェルト・不織布を製造販売している。特に自動車内装材はトランク材など厚地を得意とし、OA機器向け資材は海外販売でも豊富な実績がある。

 ニッケグループとなったことから決算期を11月期に変更した。2期連続で純損失となっていた業績も今期は8カ月間の変則決算ながら連結で黒字浮上する見通しとなった。業績改善の要因の一つがニッケグループと連携した生産拠点の再編。低採算が続いていた羊毛フェルトは生産拠点である館林工場(埼玉県明和町)を7月で閉鎖し、同じニッケグループであるアンビック(兵庫県姫路市)での委託生産に切り替えた。

 新型コロナウイルス禍からの回復も続く。自動車内装材は世界的な自動車生産台数回復もあって受注が改善した。工業資材も子会社の三和フェルト(埼玉県杉戸町)が製造販売するOA機器向け資材が国内外ともに好調に推移する。このため工業資材全体でも売上高は新型コロナ禍前の7~8割水準まで回復した。

 さらなる生産拠点の再整備にも取り組んでいる。20年に火災で焼失した自動車内装材の主力工場、一関工場(岩手県一関市)の再建を進めており、今年12月には1系列で稼働再開する。22年2月には2系列目の増設も予定する。合繊ニードルパンチ不織布を生産する本社工場は住宅地にあるため土・日曜日や夜間の操業ができず、生産性を高めにくいという課題があった。このためニッケの印南工場(兵庫県加古川市)の敷地内に立ち上げたフジコーの加古川工場への移管を検討する。

 生産拠点の再整備を進める一方で「新たな成長のためには国内市場だけでは限界がある。海外販売の拡大が必要」と日原邦明社長は指摘する。現在、OA機器向け資材が海外市場で好調だが、これに続く主力用途の開拓に取り組む。

 例えば、コイルセンター(鉄鋼メーカーから出荷された鋼帯〈コイル〉を鋼板に加工する中間業者)向けに販売しているテンションパッドなどが有力な候補となる。コイルセンターは海外の工業団地などに多数存在し、各社の設備ごとにテンションパッドも微妙な品質調整が求められる。こうした用途で同社のノウハウや技術力を発揮できるとする。

 同社は既に中国本土と香港、韓国、インドネシア、タイ、ベトナムに拠点を持つ。さらにニッケグループの海外拠点とも連携することで、海外戦略のさらなる強化も可能になった。グローバルな成長戦略に向けて、新たな挑戦が始まっている。(毎週月曜日に掲載)