繊維ニュース

不織布新書21秋(2)/東レ/旭化成/ユニチカ/東洋紡

2021年09月29日 (水曜日)

〈東レ/21年度も前年増/年内に「アクスター」フル稼働に〉

 東レの不織布事業部は2020年度、新型コロナウイルス禍に伴い発生した特需の上乗せで「業績は前年を上回った」としており、21年度も前年増を計画する。

 主力の紙おむつ向けポリプロピレン(PP)スパンボンドでは、子供用の伸びが鈍化していることに懸念を強めており、紙おむつメーカーが製品をリニューアルするタイミングで、そのつど新規原反を打ち出し拡販を目指す。

 中国・仏山の拠点はフル操業を続けている一方、インドの拠点はロックダウン(都市封鎖)の影響を受けており、次の設備投資については「慎重に見極めている段階」にある。

 ポリエステルスパンボンド「アクスター」では、環境規制強化に伴う工業用フィルター需要の拡大に対応する剛性と均一性に優れた高性能フィルター素材を開発。30%の増産投資を実施し、年産で約1万トン体制を構築した。

 昨年、工場のロックダウンなどで荷動きが低調だったフィルター向けの販売を既に反転させており、アクスターでは「年内のフル操業をイメージ」し、販促活動に取り組んでいる。

 サステイナブルへの対応を「いろいろと検討している」と言い、自社の工場で発生したフィルムくずなどを原料とする再生ポリエステル「エコユース」やポリ乳酸が原料の「エコディア」で「市場開拓に力を入れたい」考えだ。

〈旭化成/サステ対応SBを拡充/「プレシゼ」、吸音材にめど〉

 旭化成は資材用スパンボンド不織布(SB)で、サステイナビリティー対応品を拡充する。ポリ乳酸(PLA)SB「エコライズ」に加え、再生原料SBも「需要家のニーズに応じて充実させる」(石田哲也スパンボンド資材営業部長)方針だ。

 エコライズは生分解性、熱プレス機による成型加工、PLAでは難しいソフト性や低目付などが特徴。飲料用や食品包装材向けに販売するが、PLAは物性面で制限もあるため、他の生分解性原料使いも検討する。一部にとどまる再生ポリエステル、同ナイロン使いSBも増やす。生活資材向けを中心に再生原料使いの要望が強まっているという。

 ポリエステルSMS(SBとメルトブロー不織布との複合品)である「プレシゼ」では自動車吸音材向けの本格化に期待する。プレシゼは均一性、高捕集性、バリア性などさまざまな機能を持つ。その特徴を生かし吸音材の開発に取り組んできたが「ようやく実採用される段階に来た」と手応えを示す。資材用SBでは生産拠点であるスパンボンド工場(滋賀県守山市)の構造改革も課題とし、2022年度(23年3月期)からの新中期経営計画で実行していく。

 資材用SBは21年度上半期、堅調に推移したが、自動車メーカーの減産など下半期は不透明。原料価格の上昇も懸念材料とする。

〈ユニチカ/高機能品を拡充/成長戦略の策定急ぐ〉

 ユニチカは不織布事業で、21年度は「アクアパック」「マリックスAX」といった高機能原反の拡販に取り組む。今年1月に立ち上げたプロジェクトを通じ、アフターコロナをにらんだ成長戦略を策定する。

 2020年度は新型コロナウイルス禍で苦戦を強いられたものの、スパンボンドでは自動車向けの販売が下半期から復調し、米国や中国向けも回復した。

 一方、コットンスパンレース「コットエース」はインバウンド需要に依存していたためか未だ低調に推移しており、回復にはなお時間がかかると見通している。

 新型コロナ禍が収束して以降、「市場は新型コロナ禍以前の状態には戻らない」と見ており、新型コロナ禍後に再び成長軌道を取り戻すため今年1月、プロジェクトに着手し、新型コロナ禍後を見据えた成長戦略の検討に入った。

 この間、コンクリート養生用の湿潤養生シート・アクアパック、硬い板状のマリックスAXシリーズ、極太糸によるフィルター用の「ディラ」といった高機能原反を相次いでラインアップ。

 今後も、これらに続く高機能品の開発を強化するとともに、生産工場におけるコストダウンや経費節減などを通じ定番品の競争力強化に取り組む。

 コットエースでは、原料やシート、加工の改質を進めるとともに、顧客との対話を通じパッケージでの見せ方の工夫などで「早急に回復基調へと転換させたい」考えだ。

〈東洋紡/エコを打ち出す/岩国事業所に新拠点〉

 東洋紡はスパンボンド事業で、「徐々にニーズが強くなってきた」と言う環境配慮型素材の拡販を計画するほか独自原反「コスモフレッシュNANO(ナノ)」「サウンドブロックネオ」「エアリア」を重点的に投入する。

 20年度は新型コロナウイルス禍で自動車、土木、建築向けが苦戦したものの、自動車向けは7月から復調し、10月以降は前年増の勢いを取り戻した。

 21年度は、ペットボトル再生ポリエステルで開発した「エコボランス」の販促を強化し、土木・建築資材向けを伸ばす。現在はエコ比率70%を主力に展開しており、100%使いを量産する技術の確立を急ぐ。

 重金属イオン吸着シート・コスモフレッシュNANOでは、今年1月から京都大学との共同研究に着手しており、さまざまなデータを収集しNANOの販促に生かす。

 サウンドブロックネオは低周波領域での性能向上を求めるユーザーニーズに応じて開発した吸音材向けの原反。現在、販路開拓に取り組んでいる。

 エアリアは抗ウイルス性能が特徴のポリマーを原反表面に反応固着させた独自素材。ガウンやフィルターなどの用途を掘り起こす。

 一方、岩国事業所にマスクや防護服に使われる高機能ポリプロピレン不織布の開発・製造拠点を新設し、22年7月から量産を開始する。マザー工場として機能させ、提携工場の協力も仰ぎながら高機能不織布や環境対応不織布の拡販をグローバルに推進する。