繊維ニュース

不織布新書21秋(7)/旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ/帝人フロンティア/ヤギ/ダイニック

2021年09月29日 (水曜日)

〈旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ/「タイベック」の用途探索/洗浄、消毒の作業時にも〉

 旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツは、フラッシュ紡糸不織布「タイベック」を展開している。防護服だけでなく、医療用滅菌包材、建築資材、グラフィック・印刷用といった分野に用いられ、そのほかにも用途は広がりを見せている。会員制交流サイト(SNS)を通じた情報発信にも力を入れている。

 極細ポリエチレン繊維を動いているベルトの上にクモの巣状に積層して熱と圧力で結合する。紙のような風合いのハードタイプと布のような肌触りのソフトタイプを販売し、コーティングやラミネーションとの組み合わせもできる。透湿性や耐水性、軽量、通気性、強度などが特徴だ。

 2021年1~6月の販売は、高位で安定推移を見せた防護服向けが計画通りだった。医療用滅菌包材は新型コロナウイルス禍で手術件数が減ったことなどから計画に届かなかった。建設資材分野は新型コロナや木材価格高騰(ウッドショック)のあおりを受けて計画を下回った。

 新用途では、洗浄や消毒作業時に着用する服(防護服)で採用が進んだ。新型コロナの集団感染が起こったクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号を洗浄する際に着用されたと言う。「これまででは考えらなかった使い方」とし、新分野の一つと位置付け、リゾート施設などにも広げていく。

〈帝人フロンティア/バグや中わたで新商品/ナノフロントは30%増へ〉

 帝人フロンティアの機能資材本部は環境関連と機能資材を軸に不織布関連事業を展開する。

 環境関連の今上半期(4~9月)は、水処理のRO膜基材に使われる湿式不織布が順調に伸び、動きが鈍かったバグフィルターも回復基調となり、計画通りに推移している。湿式不織布では市場の拡大とともにシェア向上に取り組み、下半期も引き続き拡大を狙う。

 機能資材では電磁波シールドなどが安定して推移した。縦型不織布「V―LAP」は寝具用途が堅調だったが介護用途は動きが鈍く、「ベルオアシス」は前期に比べると低調だった。ベルオアシスでは今後、新しい用途の開拓に注力する考えで、油水分離フィルターや衛生材料、災害対策関連などを狙う。

 下半期の販売を新型コロナ禍前の水準に戻す計画で、新しい取り組みを加速する。メタ系アラミド繊維「コーネックス」のバグフィルターでは、新たに開発した耐酸性を高めたタイプとコーティングで捕集効率を高めたタイプを打ち出し、展開を広げる。衣料用では、再生ポリエステル「エコペット」と旭化成の「ベンベルグ」を組み合わせた中わたを開発。異形断面や中空タイプもそろえ、ベンベルグの吸放湿性と合わせて高機能なサステイナブル素材として提案を始める。

 超極細ポリエステル「ナノフロント」ではフィルター、マスク、ワイピングなどの用途に注力し、下半期は20~30%の拡販を狙う。エコペットによるナノフロントの展開も広げていく。

 エコペットの不織布「エコペットペーパー」は、耐久性や加工のしやすさ、意匠性などから注目を高めている。名刺、地図、水切り袋などさまざまなアイテムを展開するが、足元ではエコバッグなどでの引き合いが増えている。

〈ヤギ/ナノファイバーマスクが好評/「社会課題の解決」に〉

 ヤギは「次世代事業の創出」という全社方針の中で、資材分野の開拓を進めている。その軸となるのがエレクトロスピニング法(電界紡糸法)から生み出されるナノファイバーメンブレン(薄膜)「ナノクセラ」や3D構造体不織布「エンカ」だ。この拡販により事業規模の拡大を図るとともに、「社会課題の解決に貢献する」。

 ナノクセラは、韓国のライム(旧ファインテックス)とヤギの出資を含む業務提携を結び、韓国を除く全世界に販売するもの。薄くて軽量な上、通気性能、透湿防水性能、微細物・異物除去性能に優れる。

 ナノクセラで作ったマスク「エアークイーン」の販売が拡大中。ネット通販から販売を開始し、量販店やドラッグストアへと販路を広げ、販売数量は累計100万枚を超えた。

 軽量で通気性に優れ、立体設計により着け心地がいい。フィルター性能が高く、除菌して繰り返し使える。日本だけでなく欧米など海外でも好評を得ている。

 今後はナノクセラでエアークイーン以外のOEM獲得を狙うとともに、生分解性タイプのナノクセラを開発、提案していく。マスクなど衛生材、フィルター、電子機器、スポーツ・アウトドア関連という四つの用途を軸に、「社会課題の解決」に向けてさまざまな分野で提案活動と用途開発を進める。供給能力は需要が急拡大しても「全く問題ない」と言う。

 エンカも採用数を伸ばす。人工芝のアンダーパッドに国内で初めて採用されたほか、高い排水性とクッション性が認められ、引き合いが増えている

 マイクロプラスチックが削減できる点も訴求力になるとし、サステイナブルの観点を加えて提案を強めていく。

〈ダイニック/強みを生かして拡販狙う/抗ウイルスなどの機能も〉

 ダイニックは、家電フィルター分野などを軸にニードルパンチ不織布(NP)の販売を増やす。家電フィルターでは加湿器用フィルター用途が多く、抗菌や防カビなどの機能を持つ製品に加え、抗ウイルスタイプの提案も進める。国内企業への訴求だけでなく、海外企業にも拡大を図る。

 2021年4~6月の同社不織布販売は、自動車関連用途を中心に回復を見せ、前年同期を30~40%上回った。ただ展示会・イベント用NPカーペットの戻りが遅く、19年度の水準には届いていない。NPカーペットは徐々に回復するとみるものの、21年度年間でも全体の販売量は19年度を下回る見込みだ。

 そうした中で販売拡大に力を入れるのが、強みの一つである家電フィルター分野だ。加湿器用フィルターに求められる吸水性と拡散性はもちろん、抗菌・防カビ・抗ウイルスなどの機能で他社との差別化を図る。抗ウイルスは一定の即効性が求められるようになっているが、積極的に応じる。

 インテリア関連のパーテーションは大手メーカーとの取り組みが奏功して、ここ1年で3~5倍の販売となった。触感や温かみが評価されている。抗ウイルスなどの機能も付加して一層の成長を狙う。そのほかでは自動車関連は今後も堅調と予想し、展示会・イベント用NPカーペットは徐々に回復するとみる。