ごえんぼう

2021年10月04日 (月曜日)

 〈五十にて河豚の味を知る夜かな〉〈河豚食わぬ奴には見せな富士の山〉。五十路にして初めて食したフグを小林一茶はこう絶賛した▼一茶が食べた季節はいつだろうか。江戸時代の料理本には、ナスとニンニクと煮るとあり、夏という説が有力だ。てっちりという食べ方からか、冬が旬というイメージが強いフグだが、産卵期が過ぎ、白子や真子に養分を奪われない夏の身が最も美味とも言われる▼平賀源内が考えた土用の丑の販促キャンペーンでウナギの旬は夏だと思いがち。本当は冬眠に備え、栄養を蓄える10~12月が最も脂が乗っている。こうしたうんちくが通用するのは天然物の世界。畜養を含めると、技術的にはほとんどの魚が養殖できる今では意味がない▼いつでも旬の魚が食べられるのは幸せだが、行き過ぎては困る。遺伝子を自在に改変する「ゲノム編集」技術で超肉厚のマダイが誕生した。絶対食べたくない。