両角みのりのイタリアモードの今(39)

2021年10月04日 (月曜日)

サステイナビリティーとイノベーションの出会い

 国際家具見本市「ミラノサローネ」の期間中、会場外ではミラノの町全てを使って640を超えるデザイン関連の展示が行われた。これらは総称して「フォーリサローネ」と呼ばれている。今年もトルトーナ地区からブレラ地区まで多くのメゾンブランドが参加。展示会からインスタレーション、美しいアートギャラリーが歴史的建造物を舞台にフォーリサローネを活気付けた。

 「ディオール」は、ルイ16世スタイルの象徴であり顧客がコレクションを見るための椅子として使われていたメダリオンチェアを再考するために17人のアーティストを招待した。より詩的でロマンティックな提案を始めとする美しい展示が完成していた。

 モンテナポレオーニ通りの「ヴァレンティノ」ブティックでは、1940年代の劇場の椅子と赤い緞帳(どんちょう)や劇場照明を用いて劇場の世界に触発されたドラマティックなインスタレーションを行った。

 「グッチ」はマンゾーニ通りに、メゾンのロゴやシンボルで覆われたノート、ペーパーウエート、鉛筆などを購入できる魔法のような小さな文房具店を作った。

 「トッズ」は、ブランドのDNAを構成する「持続可能性」「アート」「職人技」という三つのキーワードをテーマに、米国人アーティストとトッズ職人が共同で、同社で発生した廃棄レザーをリサイクルして作ったオブジェを展示した。

 「エルメス」は長いロックダウン(都市封鎖)後の物質との出会いを考えたオブジェクトコレクションを発表。物理性と一貫性をキーワードに原材料や天然素材の生地を使ったセンターピースやアームチェアなどが実際に触れられるように展示した。

 「ヴェルサーチ」のブティックでは、ドナテラ・ヴェルサーチ氏が建築家と共にデザインした家具とアクセサリーの新コレクションを発表。ラグジュアリーリビング・グループとのパートナーシップで生み出されたプロジェクトは、クラシックアートと神話、幾何学的な模様と装飾、革とシルク、不順応と象徴的モチーフなど相反するイメージでブランドアイコンのメデューサを再解釈し、包括的な体験を提供した。

 「アルマーニ・カーザ」はイベントを開催していないが、コルソヴェネツィアの店舗で家具の新しいコレクションを展示。認証済みで追跡可能な素材とそのリサイクルシステムによる持続可能性の取り組みを訴求した。

 

もろずみ・みのり 2003年よりイタリアに渡り、建築デザインとファッションを中心とした企業視察や通訳を務める。2016年からImago Mundi代表