私が見たパリの服事情 (10)

2021年10月08日 (金曜日)

PVパリ初訪問

 【パリ=龍山千里通信員】9月、「プルミエール・ヴィジョン・パリ」(PV)を初めて訪れた。播州織産地の生地商社で働いていた時は、先輩がシーズンごとに慌ただしくパリへ飛び立ち、次シーズンのトレンドにまつわる資料や雑誌を持って帰ってきてくれた。それを皆で回して読んでいたことを思い出す。

 取材当日、パリやニューヨークのハイブランドで20年以上デザイナーとしてキャリアを積まれたという方と会場で出会い、初対面にもかかわらず数時間一緒に展示を見て回った。デザイナーの目線から展示会場を眺めており、発する一言ずつが新鮮だった。例えば展示方法。生地メーカーは平面的に折り畳んでハンガーに掛けることも多いが、その方法は時にドレープや素材感がいまいち分からず服のデザインを想像しづらいという。膨大な素材が集まる見本市でバイヤーの目に留まるチャンスはほんの数秒しかない。「選定してもらうには展示の工夫が素材の質と同様にとても大切だ」と話していた。

 今回、サステイナブル素材であることが欧州ではいかに必須条件なのかを目の当たりにした。取材中もイチ押しの生地はエコ素材と答えられることも多かった。一方で「サステイナブル」についての問題意識の間口が広すぎて、作り手は今も試行錯誤しながらそのテーマに挑み続けているように感じた。ファッション分野でサステイナブルな取り組みは可能なのか。一言で表せない問いだからこそ、長い時間をかけてでも検討していきたい。

(毎月1回掲載)