三陽商会 3~8月期/売上高は計画未達/構造改革で赤字幅は縮小

2021年10月12日 (火曜日)

 三陽商会では、プロパー販売の強化や値引き販売の抑制、販管費の削減が寄与し、赤字幅が縮小している。春夏商戦のピークとなる4月に緊急事態宣言が発令され、7月の再発令で売上高は低迷したが、営業損益は前年を超える水準となった。大江伸治社長は「今期(22年2月期)の営業黒字化を実現する考えに変わりはない」と述べた。

 2021年3~8月期連結決算は、売上高164億円(前期比7・2%増)、営業損失20億3300万円(前期は57億1200万円の損失)、経常損失18億7600万円(前期は57億3800万円の損失)、純損失19億1000万円(前期は66億4800万円の損失)となった。(短信既報)

 売上高は計画未達となったが、営業損益は1億1千万円、純損益は2億6千万円の上振れとなった。「プロパー販売比率は57%になった。過剰仕入れを止め、消化の遅い商品は早期にアウトレットに回した」と話す。

 製品在庫は86億円で、前期比36億円減少(8月末時点)。新鮮な売り場を保つことで、MDサイクルの短縮化にもつながった。不採算事業のセレクト業態「ラブレス」は、15店舗から8店舗に縮小、婦人ブランド「キャスト」は29店舗から9店舗に減らした。ラブレスは今期中に6店舗体制にする考えで、店舗集約と販管費の削減を急ぐ。

 低迷する売上高については、集客で苦戦する百貨店を補完する形で、直営店、自社EC、アウトレットを強化する。前年は年末年始で新型コロナウイルス禍の影響が大きかったが、今期は「ワクチン接種というセーフガードが確保されている」とした。今後もプロパー消化率の向上と不採算事業のローコスト運営、在庫管理を徹底する。

 通期は売上高415億円、営業利益1億円、経常利益5千万円、純利益0円を見込む。新型コロナ禍の影響が10月まで続くと想定し、売上高は25億円下方修正した。