繊維ニュース

特集 北陸ヤーンフェア2021(7)/出展者の見どころ/カジナイロン/豊島/北洞/モリリン

2021年10月19日 (火曜日)

〈サステベースに独自性/伝統技術との融合も/カジナイロン〉

 カジナイロン(金沢市)は、サステイナビリティーをベースに、独自性を加えた糸を幅広く出展する。カジグループ全体でサステイナビリティーへの取り組みを重視する中、昨年にサステナブル委員会を設置するとともに、今年4月にはカジナイロンとカジレーネでGRS認証を取得している。

 今回の出展品は全てサステイナブル素材とする。その中で、天然繊維のような外観と機能性を兼ね備える糸やストレッチ糸などテーマごとに合繊長繊維の強みを生かした独自糸を紹介する。天然繊維のような外観を持たせた合繊糸では、綿やリネンなどの外観を持ちながらイージーケア性などの機能を備える糸を打ち出す。ストレッチ糸は植物由来や再生ポリエステルをベースに幅広いバリエーションをそろえる。

 生産工程で発生するC反を再利用し、産地の技術を加えて新しい魅力を引き出す「U反」も紹介する。有松絞りの熊谷との協業で、通常は廃棄されるナイロンやポリエステルのC反を、伝統工芸の技術を加えて新しい商品に生まれ変わらせた商品を紹介する。

 糸開発の強化に向けて設備投資も行う。来年春には和紙の糸加工機を導入してサステイナブル素材の拡充につなげるほか、ナイロン糸の試験開発用設備を導入して独自糸の開発を強化する。糸加工の技術を生かして開発した炭素繊維ワイヤーも量産設備を導入する。

〈北陸での認知度向上へ/サステ中心に初披露素材多く/豊島〉

 豊島は合繊を中心にサステイナビリティーを意識した商材を複数そろえる。展示会では初めて披露する素材を数多く用意しており、ポリブチレンテレフタレート(PBT)や生分解性ナイロンを使った商品などを訴求し北陸産地での認知度向上を図る。

 PBTを使ったストレッチ糸は強撚にしてシャリ感や清涼感を付与。春夏向け素材で展示会では初めての披露となる。強撚工程を加えることで差別化を図ったほか、リードタイムの短縮にも貢献する。光沢感を抑え、防透けやUVカット、遮熱といった機能を加えたタイプもそろえ、ユニフォームや衣料向けに提案する。

 生分解性ナイロン100%の糸や生地も初めて打ち出す。生分解性については第三者機関による実証データもそろえている。同社によると、生分解性ナイロンは市場でも珍しく、展示会でも注目を集めそうだ。

 再生ポリエステル100%の高捲縮糸も初お披露目となる。ストレッチ性を備えるほか、リサイクル原料を使用することでサステイナビリティーも意識した。シーズン問わず通年使える素材としてアピールする。

 天然繊維では、トルコ産のトレーサブルオーガニック綿「トゥルーコットン」も提案。トゥルーコットンにレンチング社のリサイクルリヨセル「テンセルリフィブラ」やオーガニックヘンプを複合した素材も訴求する。

 今回出展する同社二部三課はポリエステルからナイロンまで幅広い素材を扱っている。長短複合素材などの提案もできるほか、サステイナブル素材も豊富にそろえる。国内に備蓄機能を有し小ロットにも対応。仕入れネットワークは中国をはじめ世界各国に広がっている。

〈玄武岩繊維を出品/外観生かして衣料用途へ/北洞〉

 北洞(京都市)は、バサルト繊維(玄武岩繊維)や葦×綿糸などを出品する。

 バサルト繊維は、玄武岩を高熱で溶かして紡糸する繊維で、耐熱性や耐薬品性、高強度などの特徴を持つ。天然の岩を原料とするので環境にも優しい。通常はガラス繊維代替など産業資材用途で使われることが多いが、今回展では独特の光沢を生かしてファッション用途として提案する。

 糸は440~3300デシテックス。染色はできないが、メタリックな独特の光沢感があり、今回展では衣料用の生地を作って披露する予定。現在、経糸にポリエステルを使った織物やメッシュ織物、「ホールガーメント」、丸編みなどで試作を進めている。

 まずはナマ糸から展開を始めるが、将来的には蓄積してきた糸加工のノウハウを加えながら品種を広げていく考え。同社は早くから金属糸など製織・編立が難しい糸を扱っている。昨年展では金属糸の薄地織物を出品して注目を集めたが、バサルト繊維でも糸加工のノウハウを加えて織機にかけやすくするなど扱いやすさの向上につなげることを視野に入れる。

 このほか、サステイナブル素材として、植物の葦(よし)を使った糸や海洋生分解性を確認したレーヨン糸、和紙糸の色糸見本帳「カルタ」などなどを展示する。葦の糸は葦30%、綿70%で、10単、26番をそろえる。

〈サステイナブル深掘り/エコ原料・脱炭素を主に/モリリン〉

 モリリンは環境に配慮した「エコ原料」や「脱炭素」を主軸とした長繊維を中心に打ち出す。サステイナブルな特徴を深掘りし、分かりやすく訴求する。

 エコ原料でアピールを図るのは100%再生原料から作られる「エコメイド」シリーズ。吸水速乾性の「クールマックスエコメイド」と保温性の「サーモライトエコメイド」の原綿ブレンドで排反した機能を実現。再生原料の使用で通常の生産時に排出する二酸化炭素を77%削減できる。

 ゼロカーボンタイプの「テンセル」リヨセルと「テンセル」モダールも注目度が高い。NGO団体「カーボンニュートラル」の定める基準に則り生産から流通までCO2の実質排出ゼロを実現。さらに、テンセルモダールに生分解性繊維の「ベンベルグ」を合わせて光沢感を付与したエレガントな素材もそろえる。

 デニム調の製品が増える中で注目を集めるのが「アクアライズ」だ。「テンセル」モダールに特殊なインディゴ顔料を練りこむ原着技術を用いる。染色や洗い加工に使用するエネルギーや化学薬品、排水の大幅な削減につながる利点を持つ。

 マテリアルグループの吉田伸統括部長は出展について「若手から中堅社員が主体となり、発表方法に工夫を凝らした」と話す。さらに「来場者に商材を直接提案できる貴重な機会を生かしてほしい」と期待を込める。