人工皮革・人工スエード特集/クラレ

2002年02月07日 (木曜日)

「クラリーノ」海外販売網の整備一巡/天皮と対等の商品を開発

 クラレは人工皮革「クラリーノ」事業を再構築するため、海外の販売ネットワークの整備を一巡させた。並行して海外加工拠点の充実や天然皮革と対等に戦える商品開発などにも取り組んでおり、04~05年度には年産1550万平方メートルのフル稼働を目指す。

 同社は香港、ドイツ、米国に販売拠点を持つ。欧米向けスポーツシューズのアジア縫製に対応するクラレ香港は、「ナイキ」「アディダス」「ニューバランス」など大手ユーザーの企画センターとなっている台湾・台中に事務所を開設するとともに、ボストン、ポートランド、香港、広州、台中にオフィスを持つ米企業と代理店契約を結んだ。

 ドイツでは、現地企業との合弁販社、ハル・クラレに技術者を含む日本人2人を配置。EU域内に10数社ある代理店との連携を強化する体制を敷いた。米国では丸紅との合弁を解消してクラレアメリカ全額出資でクラリーノ・アメリカを設立。大手ユーザーでありマジライト社と業務提携した。

 海外加工拠点は台湾、中国、韓国、ドイツ、イタリア、米国の6カ国・地域に8カ所まで広がった。01年度の販売量約1200万平方メートルのうち、6割強が輸出だが、その50%以上が生機輸出による現地加工仕上げとなっている。

 商品開発では昨年9月に発売した「パーカッシオ」に代表される「天然皮革と対等に戦える素材」をかばん・靴からインテリア、衣料へと広げる。10数%にまで高まってきたポリエステル基布使いの開発にも注力し、カーシートやイス張り分野を育てる。

 また全社的な位置付けで設置された「クラリーノ21プロジェクト」では、エコロジー対応、コストダウンなどを切り口に革新的な生産プロセスを03年度までに確立することを目指している。