東洋紡 生活・環境ソリューション本部/新規事業創出に重点化/本部・異業種との連携促進

2021年10月22日 (金曜日)

 東洋紡の生活・環境ソリューション本部は先に新設したマーケティング戦略部による取り組みで他本部との連携を強化するとともに、異業種からの出向で受け入れた人材の活用で新型コロナウイルス禍後に求められるニーズを探索し最重要課題に位置付ける新規事業の創出を急ぐ。

 同社は昨年4月の組織改正で、これまでの5本部をフイルム・機能マテリアル、モビリティ、生活・環境、ライフサイエンスの4ソリューション本部体制に再編した。

 本部間の交流を促進し、持てる商材をうまく組み合わせ「顧客の困っている事を解決する」(西山重雄専務執行役員生活・環境ソリューション本部長)新規事業の創出を重視しており、そのために各本部にマーケティング戦略部を発足した。

 生活・環境ソリューション本部は4人体制でスタートしたマーケティング戦略部を既に8人に増員。出向で受け入れている異業種の人員や研究所との協働も交えながら既存事業の幅出し、新規事業の開拓に取り組む。

 モビリティソリューション本部とは守備範囲がクロスオーバーしており、生活・環境ソリューション本部が室内用に展開するフィルターをモビリティ用に転用。車内にこもったタバコ臭を取り除く除塵(じん)フィルター「エリトロン」で、例えば車内で食べたハンバーガーの匂いを消臭できる開発を進める。

 高強力ポリエチレン繊維「ツヌーガ」を年産1500トンから2千トンに増設し来年4月から稼働させる。自動車の組み立て工場などで使われる耐切創手袋が主力用途だったため、工場休止で苦戦を強いられたが、ここに来て持ち直してきた。2022年度からは原着糸もラインアップし、アウトドアウエア、リュック、テントなどの用途開拓にも乗り出す。高強力ポリエチレン繊維「イザナス」は釣り糸向けの販売が絶好調で一時、米国では店頭からイザナス使いの釣り糸がなくなってしまうほどだったと言う。

 クッション材「ブレスエアー」では昨年、巣ごもり需要という追い風の発生で過去最高の販売量を更新し、増設も実施した。1号機では工程間の搬送を人手に頼っていたが、2号機では自動化のための設備を導入した。

 しかし、この間の原料高騰で収益面は苦戦に転じており、防ダニのような機能性を持たせた新商品投入のタイミングで「新価格体系へと移行させたい」考えだ。

 衣料繊維事業ではエクスラン(アクリル短繊維)事業の改善に手応えを示す。好調な産資・非衣料向けの販売拡大で構造転換を加速。昨年、減損を実施しており、「21年度で黒字浮上できる」とみる。