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特集 スクールユニフォーム(7)/商社編/LGBTQ やSDGsに対応/東洋紡ユニプロダクツ/牧村/チクマ/ナカヒロ/イシトコテキスタイル/アカツキ商事/東レアルファート

2021年10月22日 (金曜日)

 学生服地やシャツ地を展開する専門商社各社にも、性的少数者(LGBTQ)やSDGs(持続可能な開発目標)の流れが押し寄せている。各社がモノの作り方や提案手法の変化の必要性を訴えつつ、地球環境に配慮した商品開発を進め、実績も積む。シャツを中心に編み地など軽装化の流れも急ピッチで進んでおり、「動きが少ない」といわれる学生服業界も変化の時を迎えている。

〈東洋紡ユニプロダクツ/編み地見本帳2種を刷新/提案強化で需要取り込む〉

 シャツ地、シャツ製品を中心とする東洋紡ユニプロダクツ(大阪市中央区)のスクールユニフォーム事業部はこのほど、横編み生地の見本帳を刷新した。10月中には丸編みと経編みを両方収録する見本帳も刷新する。見本帳提案を加速させることで、高まる編み地ニーズを取り込んでいく。

 横編み生地の見本帳を刷新するのは久しぶり。売れ筋カラーを前面に収録して選びやすさを追求し、カラーだけでなく見本帳後半ページには大判生地も貼付、風合い確認もできるようにした。ウール、アクリル、ラミー、綿、麻などの生地をそろえる。

 丸編みと経編み生地の見本帳刷新は今回が3回目。売れ筋商品に加えて新商品も収録する。

 「ウェブ提案では色や風合いの判断が難しく、スワッチ見本は大きすぎる」として見本帳の充実を決めた。各アパレルに積極的に配布して学校提案に活用してもらう。見本帳収録生地のほぼ全てを自社で備蓄し、即納体制を敷く。

 編み地だけでなく従来の主力商品である織物でも、環境配慮や機能性にこだわった商品開発を強化する。

〈牧村/強みの柄開発力で勝負/22年入学は新規増加傾向〉

 牧村(大阪市中央区)のスクールユニフォーム事業の2022年入学商戦は現時点で「堅調な推移」となっている。中学校でモデルチェンジが相次いでいる中、新規採用が増える傾向にある。

 11月にはアポイント制の内見会を開く。新型コロナウイルス禍への配慮に加えて「じっくり商談するには展示会よりも内見会のほうが向いている」と判断した。新作の柄生地、無地生地を約100点披露する。東京、大阪、名古屋での開催を予定しているが、日程と場所はまだ流動的。仮に内見会が開けなくても個別訪問に切り替えて商談する。

 性的少数者(LGBTQ)への配慮で中学校を中心に詰め襟、セーラー服からブレザーへの切り替えが進むが、この傾向は元々柄物を強みとする同社に追い風になる。改めて新柄開発に力を入れ、このニーズを取り込んでいく。

 SDGsへの対応もテーマの一つ。再生ポリエステル使いや温度調節素材「アウトラスト」の活用がポイントになるとし、提案を強める。アウトラストではベスト、セーター、カーディガンなどのニット製品を展開している。

〈チクマ/「服育」でさまざまな試み/社会貢献活動を積極化〉

 チクマ(大阪市中央区)のキャンパス事業部は、「服育」の一環としてさまざまなイベントや協業事業を進めている。

 10月29日には25回目の「服育ラボ定期セミナー」として「LGBTsの存在を意識した上での学校教育vol.2」をオンラインで開催する。講師は宝塚大学看護学部教授の日高庸晴氏。8月に同氏を招いたセミナーが好評だったことから2回目の開催を決めた。16、17日には子供たちに制服の持つ意義や魅力を伝える「制服博覧会」を大阪市北区のキッズプラザ大阪で開いた。

 SDGsにも力を入れる同社は、関西大学商学部の学生らと、未活用生地を使ったアップサイクル商品の開発を始めた。チクマの未活用生地を使って福祉事業所がポーチとトートバッグを製作するもので、廃棄衣料問題の改善に資するほか、平均加工料よりも高い加工料を支払うことで福祉事業所の加工料問題の解決を目指す。26日までクラウドファンディングサイト「キャンプファイヤー」で賛同者を募集中だ。

〈ナカヒロ/学校提案強化を継続/ニーズつかんだ商品開発〉

 ナカヒロ(大阪市中央区)のスクール事業の2021年11月期は前期比減収ながらも諸経費の抑制などにより増益となる見込みだ。減収要因は、前シーズンの前倒し生産傾向からの反動、アパレル各社の在庫圧縮方針、新型コロナウイルス禍による提案の遅れなど。

 出張費などの経費を低減できた一方、学校提案強化方針の一環として販促費は大きく増えた。専任担当も置いて販促用のサンプルを多数用意した。こうした学校提案の中で「エンドユーザーのニーズやノウハウが蓄積できてきた」として今後は例えばニット製品など「ニーズをつかんだ商品開発」を加速させる。学校提案や自治体提案の充実を背景に22年入学商戦では同社製生地を新規採用する学校がかなりの数に上るという。来期も学校、自治体への提案強化を継続する。

 ウールの混率低下が徐々に進む中、「ウールの良さをしっかりと訴求していく」ことも重点方針に掲げる。

 生産面では精度向上を課題に挙げる。各アパレルとタッグを組んで情報収集に努め、効率的で適正な生産体制を構築する。

〈イシトコテキスタイル/SDGsの打ち出し強める/CO2削減やトレサなど〉

 イシトコテキスタイル(大阪市中央区)の2021年5月期売上高はほぼ前期並みで着地した。今期はこれまでやや低調な出だしだが、SDGs(持続可能な開発目標)関連商材の打ち出しを強化し、巻き返しを図る。

 シキボウの「オフコナノ」は、二酸化炭素削減剤カプセルをポリエステルに練り込むことで焼却処理時の二酸化炭素排出量を60%削減する。綿やウールとブレンドして展開する。イシトコテキスタイルが同素材を取り扱うのは初めてだが、反響は高く、23年、24年入学に向けて拡販に期待する。

 同じくシキボウの「フルテクト」は抗ウイルス性、抗菌性に優れた加工。学販市場でも高まる清潔・衛生志向をとらえていく。自社ショールームのパネルには、ブレザー、シャツ、スカート、マスクなど同加工の対応商品を明示して分かりやすく訴求している。

 トーア紡の撥水(はっすい)・撥油(はつゆ)、抗菌防臭素材「バリアポレット」、銀イオンによる抗菌防臭、消臭性が特徴の「まるTiミラ」も積極的に提案していくほか、「コットンUSA」マークの綿素材もトレーサビリティー商材として拡販を狙う。

〈アカツキ商事/専門商社機能を強める/ECシステム運用本格化〉

 アカツキ商事(東京都墨田区)は、ニッケのグループ事業再編に伴い、9月1日付で佐藤産業(東京都千代田区)の学生服事業を引き継いだ。学生服地から最終製品納入までの事業規模拡大と合わせ、生産管理や物流などの面で専門商社としての機能強化を図る。

 新型コロナウイルス禍前の市況感に戻るには、もう少し時間がかかるとみる。来春に向けては、デジタル採寸や決済などがオンラインで可能となるECシステム「ニッケメイト」の本格運用を目指す。今春実施した16校の実績を踏まえ、学生服販売店などと共同で100校への導入を目標に据えており、新型コロナ禍での非接触採寸などのニーズに応えていく。

 学校制服においても多様性への対応を考慮し、中学校を中心に各地で制定されていた標準服の見直しが、自治体単位で九州や東海地方を中心に進んでいる。学生服を取り巻く環境変化を引き続き注視しており、デジタル化の推進・多様性への対応をキーワードにした素材や製品の開発を進める。

〈東レアルファート/ポリエステル高混率など提案強化/東レ本体と連動し合繊の強みを〉

 東レアルファートは来春に向け、ストレッチ性や軽量性、後加工による機能の付与など合繊の強みを生かして拡販する。ポリエステル100%やポリエステル高混率などで「東レ本体と連動し開発と提案を強める」(本間徳倉敷営業所長)。

 同社は上半期(4~9月)の学生服向けの販売数量で、前年同期比横ばいを見込む。性的少数者(LGBTQ)への配慮で制服のブレザー化が加速している影響もあって、女子制服向けを中心に展開する「トレラーナ」は防シワ性やイージーケア性、天然繊維ライクな加工などで引き合いが増加。シャツ向けのニット地も、織物からニットへの流れに加え、ストレッチ性やイージーケア性で評価され、引き続き好調に推移している。

 インクジェットの柄物や縫製OEMも徐々に実績ができつつあり、引き続き生地・縫製まで一貫した提案を強化する。

 2022、23年にかけては制服のブレザー化を受けて、詰め襟学生服やセーラー服などを中心に「学生服メーカーの備蓄の内容が変わる」とみている。ポリエステル100%などで機能性の提案を強化し、着実な受注確保を目指す。