島精機製作所/中国やイタリアが回復/WG横編み機が150台増に

2021年11月01日 (月曜日)

 島精機製作所の2021年4~9月期連結は、売上高158億円で前年比56・2%増、純損失10億円(前年同期は32億円の損失)となり、売り上げ、損益とも改善した。「ホールガーメント」(WG)横編み機を中心に中国やイタリアなどへの販売が伸び、売上高は2年前の13億円減にまで回復した(短信既報)。

 横編み機の販売台数は1969台で、前年同期にあった特殊要因を除くと45・0%増。うちWG横編み機は509台で前年比42・1%増だった。中国向けが現地のアパレル消費回復や工場稼働の改善を背景にWG横編み機を中心に伸び、イタリアも急回復した。欧州は英国やスペインなども好調だった。中国以外のアジアは東南アジアが新型コロナウイルス禍の影響を受けるも、韓国などが回復。北米や南米なども前年を上回った。

 今期からの中期計画では、「ホールガーメント事業の最強化」を重点施策の一つに掲げており、今後もWG横編み機の拡大に注力する。市場では中国メーカーも無縫製横編み機を出してきたが、「ハードだけでなく編成特許を含めると強みは揺るがないと考えている。ITMAアジアで出したWG横編み機の新機種も好評を得ている。特許侵害に対して毅然として立ち向かうとともに、機種のグレードアップを進めていく」(島三博社長)とする。

〈部品調達が懸念材料/通期予想は据え置き〉

 島精機製作所は22年3月期、売上高280億円(前年比14・3%増)、営業損失70億円(前期は91億円の損失)、経常損失63億円(72億円の損失)、純損失64億円(178億円の損失)を予想する。部品の調達難、中国経済の下振れ懸念、アパレル製品の今秋冬商戦の動向など不透明な要素があることから、従来予想を据え置いた。

 4~9月期は世界各地域の販売が回復し、上半期を終えての受注残は横編み機が40億円で前年比175・7%増、デザインシステム関連が5億円で11・8%増、手袋靴下編み機が6億円で同222・8%増となっている。需要は底打ちして引き続き回復傾向にあるが、半導体など部品の調達難が深刻化し、足元では注文が来ても受注が確定できない状況になっている。仕掛かり品として生産を進め、全ての部品がそろった時点で完成させる形で対応するが納期は確定できず、「来年1月以降の生産が不透明」とする。

 4~9月はイタリアが当初見込みよりも早く回復し、下半期も欧州向けの好調が続くとみられる。一方、好調だった中国内需向けは一服感が出てきた。恒大集団の経営危機や電力不足の影響など中国経済の下振れも下半期の懸念材料に挙げる。